金曜日の夜、銀座で所要を済ませてから、日本橋までお散歩。
三越で開催中の、棟方志功氏の展示を観て参りました。
“世界の棟方”と呼び愛される、著名な版画家ですが、
実は、画業の出発は絵画だったって、ご存知ですか?
今回は、絵画の展示が2/3の、珍しい展覧会でした。
オイルのデッサン画に始まり、病の友人の為に、邸宅内の
ふすまや障子、扉あらゆるところに自由奔放に描いた
ダイナミックな彩色絵画が並び、会場はムナカタの世界の只中。
迸るように溢れてくるエネルギーをぶつけるかのようなタッチは
荒々しくも、煌々としたエランビタールに満ちて、観ていると、
オレンジ色の太陽に照らされるような気持ちになりました。
どこかで、この感じ、観たことあるな…
そう思いながら、絵画と対峙していたら、ふっと思い出したのは
黒澤明さんの絵コンテ。
やはり、このように勢いのある絵なのですが、
似ているのは、そこではなくて、画家にとっての絵の存在。
黒澤明さんといえば、ご存知の通り、あくまで映画監督として
世界に名を知らしめた方ですが、元々は画家志望でした。
絵画で、初めて受賞したときに、絵画から映画へと道を変えたのですが
映画をつくる時にも、イメージの手段として、絵を描き続けました。
(↑参考;映画「影武者」絵コンテ)
エネルギッシュで明るい力に満ちた、良い絵なのですが、
映画に比べると、何かが足りない。ように感じてしまう。
それはつまり、黒澤明氏の、最も彼自身をを引き出すもの、
ではないからなのだと、わたしは思うのです。
それと同じことを、棟方氏の絵画にも感じたのです。
最後、版画作品を観て、そのことを確信しました。
やっぱりこのひとは、版画の“世界の棟方”なんだなぁ、って。
漲るパワーにあてられたのか、
観覧にちょっと疲れてしまい、長椅子に座って一休み。
目の前には、有終の美を飾るかのような素晴らしい版画絵。
ここに辿り着くまでどんな葛藤を乗り越えてきたのだろう、
自分と重ねながら、そんなことを考えていたら、
うんと悩めばいい
ふっとそんな声が聞こえてきました。
この未熟者に囁いたのは巨匠なのか誰なのか、分からないけれど
見透かされたような、どけど温かいその一言に、
張り詰めていた糸が切れて、途端に涙が落ちそうになりました。
迷わずに、うんと悩めばいい。
焦らずに、うんと悩めばいい。
うんと、うんと悩めばいいんだ。
悶々としていたことが、クリアになりました。
一流に触れ、一流に教えられることは多いですが、
今回は、一流に救われたような気分です(^ ^;)
そんな作品群に出逢えた自分の幸運に、心から感謝です。
そして、そんな作品を遺してくれた画家に心から乾杯!
帰り道は、澄み渡る冬の青空みたく、突き抜けて。
寒さも心地よいくらいで、鼻歌まじりに。
まだまだ道のりは長いですが、一歩一歩頑張って参ります。
日々是精進!


