【私と英語教育】中学英語の教科書を少しだけのぞかせてもらい…
少し前になりますが、公立中学に通う子を持つ友人に、教科書を見せてもらう機会がありました。友人の子が通う中学では、光村図書の"Here We Go!"を使用しているようです。中学3年生の教科書でしたが、その内容におどろきました。私が教員時代に使用していた教科書は、NEW HORIZEN(東京書籍)かNEW CROWN(三省堂)だったので、直接的な比較にはなりませんが…各パートの英文の量が少し増えている気がしました。そして、使用されている「表現」も、実際の会話などで使われるものが多く取り入れられているような…例えば、"Come on, guys." 相手の行動を促す"It's no big deal."「たいしたことないよ。」という表現が紹介されていたり、「情報を付け加える」「感想を伝える」というような、コミュニケーションをより良くするためのヒントが書かれていたり。発音についても、perfectharmmony発音の違いに注意とか、did you音の変化に注意というように、発音の使い分けや、リンキングなどのポイントも表記されていました。このような教科書を使えば、しっかり英語を学ぶことができると感じました。しかし、これは、あくまでも、英語が好きでずっと英語を学び続けてきた私の感想です。1パートの英語量が多く、押さえるべきポイント(文法、単語、特別表現、コミュニケーション表現、その他)が各パートにギュッと詰まりすぎていて、英語が苦手な生徒は「こんなに一度に覚えられないよ!」とますます英語がイヤになりそうだと思いました。さらに、この教科書では、基本文(いわゆるそのパートで学ぶ英文法や特別表現)に日本語訳がつけられていませんでした。日本語をはさまないで、英語は英語で!という意見もありますが、英語が苦手な生徒にとって、日本語訳は「お守り」のようなものだと思います。日本語訳があると安心するのです。小さなことですが、こういうところで、英語が苦手な生徒や苦手になりつつある生徒は、離れていってしまうのです。ちょっと頑張ってみようかな、と思って教科書を開いても、授業で聞き漏らしてしまっていたら、その部分はわかりません。自力で日本語訳を探したり、誰かに聞いて確認するという行動をとれる生徒であればいいのですが、それができない(それが面倒くさい)から、英語が苦手になってしまっているわけで…。逆に言えば、英語が得意な子にとっては、基本文に日本語訳があろうがなかろうが関係ないと思います。どちらにしても、理解はできているので。せめて、基本文には日本語訳を付けて、さっと確認できるようにしてほしい…。そこを甘やかさずに、自分で考えたり確認したりすることが大切だと考えるかもしれませんが、それは、英語が苦ではない人や英語学習から離れた人の考えです。英語が苦手で、それでも学校の科目として取り組まなければならない生徒の気持ちを考えると、そのストレスを少しでも和らげるほうが、厳しい環境に置いて成長を促すよりずっと効果的な学習につながる気がします。実際は、デジタル教材や補足プリント、ワークブックなどで、きちんとそのあたりはカバーされているのかな?そして、英語苦手な生徒も、これらでしっかり確認できるかな?とも推測しています。興味があって、光村図書のHPも覗いてみました。教科書と連動したデジタル教材では、スピーキング活動に使えるトピックがいくつも用意されていたりもするようで、スロット機能でランダムにその中の1つ選んだりする活用方法もあるようでした。これは、面白いなと思いました。(令和7年度に新しくなります!と書いてあったので、現行の教科書やデジタル教材にはまだないのかな?)ちょうど昨年の7月、私は1か月間のスピーキングチャレンジで、同じように、与えられたトピックについて話す練習をしました。与えられたトピックなので、自分が今までにあまり使用したことのない単語や表現を使う機会が多くあり、勉強になりました。話したいことを自由に選んで話すと、自分が言える、話せることに偏りがちです。ですので、ランダムに与えられたものについて話す練習をするのはとても良い活動で、スピーキング力を身につけるのに有益だと思います。今回、実際に使用されている教科書をのぞかせてもらい、今まで世間で言われていたような「使えない英語を教える教科書」という印象が薄れているなと感じました。(学校で教える英語が「使える」「使えない」については、私なりにちょっとした意見があるのですが、それはまた別の機会に…)日本の英語教育は…と批判されることも多いですが、私が英語を学んでいた頃や私が英語を教えていた頃と比べて、確実に変化しているということを改めて実感しました