勇者の帰還
向かいの方が手術を終えて、
戻ってきました。
同室の他の人は私を含めて皆、
ベッドから起きられない人です。
勇者の帰還をカーテンの向こうに感じながら、
状況が見えないので、息をつめて迎えます。
「酸素マスク、したくないです」。
第一声が聞こえて、病室に安堵が広がります。
しかも、私の時と同じ発言。
身内の方は、来られなかったようです。
私の時は、母と同居人が待っていました。
帰還した勇者に駆け寄りたいけど、
できないもどかしさにイライラした揚げ句、
自分が手術で戻ってきた状況までも思い出され、
何がなにやら、涙が止まらなくなってしまいました。
おかえりなさい。
ずっと待ってたよ。
洗髪と排泄
昨日は、外も内もすっきりして、
本当にいい気持ちだった。
髪を洗ってもらった。
を出させてもらった。
あんまりにも気持ちがよくて、
「術後、サイコーにいい1日だった」と
夕方に来た同居人(今は家の番人)にも報告。
特に、後者の話題を詳細に(笑)。
せっかくのチャンスだし!と思って、
あえて、大人用紙おむつを
はかせてもらっているのだけど、
それを使っての排泄はスゴいよ。
キレイに交換してもらって、ゴミになった
紙おむつとその中身を持たせてもらったけど、
けっこうこれが重い。
この重みは、そのままストレスの
重さになるなと思った。
あなたは私の何なのさ!
「先日の手術で麻酔の助手をさせて
いただいた●●です」
そう挨拶して、病室を訪れる医師がいました。
「ええ、覚えています」
手術の前にも、ていねいに挨拶されたから。
その時も素敵だなと思いましたが、
二度目も素敵だなと思いました。
私の病室に、主治医かのような顔をして
「どうですか? 石田さん」と来る
医師がけっこういるんですが、
いつもそのたびに思う。
「っていうか、誰? 私の何?」
名前も立場も明かさないで、
自分の子みたいな態度がまかり通るのは、
病院くらいじゃないでしょうか?
だから、病院以外のシーンではフツーである
挨拶をされるだけで、好感度は上がるのだ。
20代の研修医と思われる医師が、偉ぶって
「どうですか? 石田さん」とやってる様子は、
ごっこ遊びのようで笑っちゃうけど、
同じ業界一筋だと、それが変だとなかなか気づかない。
それに、権威を重んじる業界であればあるこそ、
社会とのズレが大きい気がする。
権威を重んじる業界というのは、たいてい
社会基盤をつくるような業界なはずだけど。
ちなみに、看護師さんたちは日中と夜とで、
担当が変わる時間に毎回挨拶にみえる。
担当患者全員にするわけだから、大変そうだけど、
こちらは、大事なことをどの看護師さんに
伝えるべきかがわかるので、ありがたいのだ。