手術一周年記念 | 「入院ジャーナル」

手術一周年記念



この拙ブログをご覧くださる方のほとんどが、

リハビリを卒業したから、ブログも止まってんだな、と

思われているであろうと思いますが、違うんです。




なにせ、本家ブログ「エミール外伝」も

止まってたんだから!




と、胸を張って言うことではないですが、

なんとなくブログ気分では

なかっただけなのでした。







しかし、今日、4月24日は、

私がRAO手術をしてから丸1年という

記念すべき日!




何か書き残したいと思い、

手術当日のことを振り返ってみる。











1年前の朝、下剤を飲み、

手術はまだかまだかと始まりを待ち、

やっとベッドに乗せられて

手術室へ行ったのが、お昼すぎ。




母と当時の恋人に見送られながら、

ピースサインをしてご機嫌な調子で、

手術室へ入る。




手術台に乗せられながら、

「写真家をされて長いんですか?」と質問され、

「いや、本業はカメラマンじゃないんですよ、私」と

軽妙なトークを交わしながら、

手術室を撮影できないことを悔やむ。




背中から麻酔医に麻酔を入れられ、

そのテクニックを大絶賛した時の

麻酔医の嬉しそうな顔!




顔に麻酔のマスクがかけられ、

「眠くなりました」と言った途端、意識がなくなった。









・・・・・・・・・・・・・・・








主治医に「イシダさん、起きて!」と起こされ、

「もうちょっと寝たかったです」と応え、

目覚め早々、手術室で笑いを取る。




ベッドに乗せられたまま、ちょっと休憩的な場所へ移動。


荘厳な感じのヒーリングミュージックがかかる中、

体調が戻るまで待つらしいのだが、体調が悪い自覚はない。




でも、えらく寒く、そのうち歯がガチガチ言い始め、

「むちゃくちゃ寒いんですが」と言うと、

シャラシャラと音がする、ジャンパー素材っぽい

軽い布をかけられる。






ベッドのまま移動して、病室へ戻ると、

母と当時の恋人が、かわいそうなものを見る目で

私をのぞき込んでくるので、憤慨するのだが、

心の中でしか憤慨できず、

顔や言葉など表現として憤慨する気力が出ないので、

ああ、確かにかわいそうな状態なのだな、と思う。





酸素マスクに、たくさんの管を付けられたまま

過ごす夜は、痛くて、孤独で、寝られず、

このまま死ぬのはイヤだな、と思い、

手術をしたことを後悔して、ひとり、泣いた。




結局、寝たのか、ずっと起きていたのか、わからないまま、

夜が明けたのをカーテンの隙間から見つけ、心底ホッとした。









20094月24日~25日のことは

一生忘れないと思う、きっと。











「・・・・」で表現した手術前と後で、

確実に私の体は変わった。




体質が変わった。




以前はカレーを見るだけで汗をかいていたのだが、

汗はかくものの、以前ほどではなくなった。


その代わり、普段暑がりになった。







感覚が敏感になった。




今まで使っていなかった脳の機能が

働くようになったんじゃないかと思う。







そして、体だけでなく、

精神が強くなった、と思う。

潔くなった、とも言う。




内田樹先生が様々な著書で

言っているような肉体と精神の関係が、

なるほどホントだわ~と

まさに、頭ではなく、体でわかったという感じ。









1年前の手術明け、歩いている自分さえも、

想像ができなかったのだから、

1年前、入院中の私を本当に献身的に

尽くしてくれた恋人と別れ、

当時、話したこともさほどなかった人と結婚するなんて、

誰が想像できるだろう。









よく「完治」ではなく、「つきあう」という

言い方を医療では表現するが、

その意味もよくわかるようになった。




手術前、手術したら完治するのであろう、

以前と比べ物にならないくらい

足が抜群に良くなるのであろうと思った。





だが、そういうものではない。


しんどい時もあるし、絶好調だなと思う時もある。

人の感情の起伏につきあうのと同じように、

股関節の調子にもつきあう。

そういうものだのだなと。





だから、「足の調子はいいの?」と聞かれるのが

一番、応えに困る。




自分的な感じでは決して悪くはないし、

医師的には絶好調であるそうだけれども、

疲れを感じたり、しんどい時もあるわけで。




でも、そう言うと、かわいそうな顔とかされて、

その顔を見ると、私の感情の始末が面倒なので、

「まぁ、ボチボチです(ニッコリ)」と

ファジー全開な応え方をしている。








しんどさの要因は、私が自宅でリハビリを

全然していないから^^;




これに尽きる!





誰かと一緒にする、決まった時間に行ってする、

というルールの中でやるならいいのだけど、

自由に自分ひとりでやって!というのはホント無理。





えんらいツラい時になってやっと、

ちょっとリハっておくか、とやる。





結局、自分をしんどくさせているのは、自分なのだ。









手術後、手術したことを大後悔したし、

この先、ずっと後悔し続けるのだろうか?と考えた。




1年経った今の応えは、

手術をしたことはYES




本当に良かったと心から思っている。





何度もこのブログで書いているように、

入院生活で出会えたすべてかけがえない時間だったし、

退院後の世界は、味わい深いものに大きく変わった。







手術をしようとした自分の決意は、

石田恵海人生史上の中でも、

五本の指に入る英断だったと思う。



えらいぞ、自分!