ラスト・ツーリスト

 

【日本初公開】

原題:The Last Tourist 

2021年製作/作品時間101分

撮影地:タイ、ペルー、ケニア、インド、カンボジア他

製作国:カナダ

 

押し寄せる観光客、大量のごみ、労働力の搾取、動物虐待……いま世界中で起きている“観光公害”の実態を映像に収めた作品。1960年代に飛行機旅行が大衆化して以降、旅行者は世界中を旅することが可能になった。その足は、古代遺跡や自然遺産などの有名スポットだけでなく、先住民族が暮らす集落や信仰上の聖地などへも向かった。観光客が求めるものはSNSに投稿するための写真と、西洋風の環境。異文化に触れることもなく、資源を大量消費して、次の目的地に向かう。旅行会社は高額なパッケージを売るが、観光地の労働者は薄給のままだ。外資が地元の経済と文化を侵食するだけの“観光バブル”は、いまも拡大を続けている。成長を続ける観光産業の、負の側面に迫るドキュメンタリーだ。

 

監督:タイソン・サドラー

製作:マーク・スウェンカー

編集:ジェシー・マン

撮影監督:ステフェン・チャンドラー・ホワイトヘッド

 

◆混雑、搾取、虐待 成長する観光産業の闇◆

コロナ禍の収束以降、再び懸念されている観光公害(オーバーツーリズム)。1950年に2500万人だった国際観光客は数十年間で爆発的に増え、2017年には13億人を突破。国連世界観光機関(UNWTO)は、2030年には18億人の観光客が国境を越えると予測しています。観光は本来、その地域と周辺に社会的、文化的発展をもたらすものですが、過度な混雑や観光客のマナーの悪さなどでマイナスの影響を及ぼす場合もあります。途上国では観光業従事者の雇用条件が悪く、経済的恩恵を受けられていない現状も。孤児院ボランティアツアーや動物ショーなど、旅行者の満足のためだけに商品を売る旅行業者も後を絶ちません。持続可能な観光とは何なのか、私たちの見識が問われています。

 

 

 

2021年 カルガリー国際映画祭 2021 カナダのドキュメンタリー映画特集、ジュリー賞:ソーシャルインパクト受賞

2021年 カナダ撮影監督協会賞 ロバート・ブルックス賞ドキュメンタリー映画賞、最優秀ドキュメンタリー撮影賞受賞