コメント欄で教えていただきました。 有難うございます。



http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/442374/

領土は国家の基本である。しかし、領土問題のロジックをよくわかっていない国会議員がいる。民主党の蓮舫行政刷新相の以下の発言がその例だ。


 《「(尖閣(せんかく)諸島は)いずれにせよ領土問題なので、毅然とした日本国としての立場を冷静に発信するべきだと思っている」と述べた。この発言は、尖閣諸島について「領有権の問題は存在しない」とする政府見解と矛盾しており、蓮舫氏は同日午後、記者団に「誤解を与える表現があった。尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有のものだ」と発言を修正した》(9月15日付産経新聞)


記事本文の続き 蓮舫氏は「毅然(きぜん)とした日本国としての立場を冷静に発信するべきだ」と述べている。

 要は尖閣諸島が日本領であると主張せよと言いたいのであろうが、尖閣問題に関する蓮舫氏の基本認識のどこに問題があるのだろうか? 民主党、自民党を問わず、国会議員の中で、わが国が抱える領土問題が、北方領土、竹島、尖閣諸島の3つであると勘違いしている人が意外と多い。これに対馬を加え、日本は4つの領土問題を抱えていると思いこんでいる人もいる。日本外務省が領土問題について、国民に対する啓発活動を怠っているからこのようなことになる。


 ■尖閣に領土問題ない

 尖閣諸島と対馬は、わが国が実効支配している。従って、これらの島々に関する領土問題は一切存在しないのである。

 これに対して、北方領土はロシアによって、竹島は韓国によって不法占拠されている。日本が主権確認を外国に対して要求している領土についてのみ領土問題と呼ぶのだ。

 領土問題と認めることは、当該領土をめぐって帰属に関する係争があると承認する意味をもつ。

 東西冷戦時代、ソ連は「日本との間に領土問題は存在しない」という立場を取った。1980年代末、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長により、ソ連は初めて日ソ間の領土問題を認めた。これに対して、韓国は竹島をめぐる領土問題は存在しないという立場だ。従って、領土問題に対する韓国とロシアを比較すると、ロシアの対応の方がはるかにましなのである。竹島問題について、焦眉の外交課題は、竹島をめぐる領土問題が存在することを外交交渉の場で韓国に認めさせることだ。

 これに対して、尖閣諸島については、中国が何を言って来ようと「尖閣諸島は日本固有の領土である。中国が言っていることは根拠のない難癖だ」と言って退けなくてはならない。

 「一方が問題の領土係争を否定しても、他方がそうだと主張している以上、客観的には領土問題が存在する」というような、学者の議論は、現実の外交においては意味をもたない。領土問題は、最終的にその領土に当該国民がどれだけ愛着をもつかという精神力の問題なのである。蓮舫行政刷新相の「(尖閣諸島は)いずれにせよ領土問題なので」という発言を聞いて、中国当局は小躍りをして喜んだと思う。


 ■中国が仕掛ける「罠」

 中国指導部が「日本の民主党政権の閣僚の基礎体力は思ったよりも弱い。(尖閣沿岸での)中国漁船と海上保安庁巡視艇の衝突問題を最大限に活用して挑発すれば、日本の政治家や国民は尖閣諸島をめぐる領土係争が日中間に存在するという認識をもつであろう。そこに付け込んで、少しでも尖閣諸島をこちら側に近づけることができる」という戦略をもっていると筆者は見ている。

 尖閣諸島をめぐる問題を政争の具にしてはならない。外務官僚は今回の蓮舫発言に対してもっと危機意識をもち、民主党の国会議員(特に閣僚)に対して、領土問題に対する基本的考え方をきちんと説明して欲しい。蓮舫氏がしたような不規則発言が、今後も閣僚や民主党幹部から続くと日本の国益を大きく毀損する。

 (作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)