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7日、ロシア下院は、9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」とする法案を採択した。

1945年9月2日、日本政府は東京湾上に停泊していた米戦艦ミズーリ号の上で連合国に対する降伏文書に調印した。この日を「対日戦勝記念日」にする動きは90年代半ばからあったが、モスクワの日本大使館が巧みなロビー活動で潰してきた。筆者自身もその工作に従事した。もちろん外交機密費を使った。

これまで、この反日記念日の制定に関して、ロシアの上院は熱心だったが、下院と外務相が消極的だった。しかし、鳩山政権の崩壊を受け、状況が変化した。筆者のところにモスクワから入ってきた最新情報だと、ロシア外務相の姿勢が豹変した。「これは反日記念日でなく軍国主義の犠牲になった日本人を含む、すべての民主的な人々の勝利を記念する日だ」などと嘯いているロシア外務相幹部がいるそうだ。

冗談ではない。ソ連は当時友好だった日ソ中立条約を侵犯して日本に戦争を仕掛けた。あの戦争において、ソ連(そしてその継承国であるロシア)との関係において、日本は侵略された側だ。菅直人首相は直ちにメドベージェフ大統領に電話し、「対日戦勝記念日が制定されると日ロ関係に回復不能の打撃を与える」と伝え、大統領の拒否権発動を促すことがわが国益に適う。

(作家・元外務相主任分析官)