■8月4日(土) ジュンク堂書店 新宿店 18:00~

佐藤優氏

「知の技法 出世の作法」


実はタイトルから、東洋経済での内容の焼き直しではないかと思い、余り期待をしていなかった。少し行くのを迷ったのですが、伊勢丹で用事を済ませてから(ワインの試飲ですが-笑-)寄ろう、と思い直して、参加。


結果、予測は大いに良い意味で、裏切られた。


ここが、佐藤さんのトークに行く面白さなのですが、同じネタでも、切り口を変えているし、新しいネタもある。


佐藤さん、開口一番に

「普段は、国家論、国際関係ですが、今日は全く技術的な話だけをします。


質問を頂く時に協力をお願いしたいのですが、北方情勢についてどうなっているか、慰安婦問題の決議に対して政府がどういう立場をとるかという質問は、どうしてもしたい場合は、止めることをできないのですが、入場料1000円払って来て頂いている以上。


只、それよりも、今日の目的合理性から考えてどうやって勉強したら良いのか、本をどう読んだらいいか、そういう具体的な質問をしていただけると、全体にとって有意義でないかと思うのです。

仕事の技法、出世の作法という事なんですが、こういう公共的な場所にいる時に どういう質問をする事が自分にとって役にたつか、周りにとって役に立つことができるかどうかというのも、出世の作法として極めて重要な能力です。そういうことを含めて皆さんの判断です。(笑)」


話の内容は、

①語学の勉強の仕方

②本を使って情報を得る方法

③人脈の構築法


【語学の勉強の仕方】

・教養としての語学は意味がない。

・海外に住む予定の無い人は、英語”会話”、フランス語”会話”、 会話の勉強は意味がない。

・外国語勉強の前に日本語の能力が必要。→ 外国語を学ぶ最低の前提条件

・日本語で物事を組み立てられる事が重要。

  -自分の日本語の読解力を評価する必要がある。

  -高校レベルの現代国語に帰る。 教科書、練習問題を解いてみる。ここで、合格点がとれれば最低条件クリア。(新聞、新書では、読解力がつかない。教科書は良く出来ている。)

・語彙と文法の2種類を勉強する。

・勉強は、読む力を付ける事が先決。(書く、聞くは、読む力があれば、必要に応じて実力がつく)

  -旧制高校入試から新制高校入試の間で使われた学習参考書のレベルが高い。 

   例えば:研文書院「大学への英文解釈」

   オックスフォード大学出版 トムソン 「実例英文法」

  -英語から日本語にする訓練をする。

・うまくいかない場合は、自分の欠損箇所を知る

  -予備校の英語の試験を受けて、どこに欠損箇所があるか知る

  -大学入試レベルの通信添削を受けて補強する

・高い授業料を払うことで語学は身に付く。(外務省の例、佐藤さんの例)

  イギリスで;

  -1週間: 授業料9万円+寮 5万円、 

  -一日の勉強 25-7語を覚える。 5-6フレーズ覚える

  -AM 文法、PM午前中に学んだ文法を使った会話と作文

  -6時間位かかる宿題

  -1週間ごとに、小試験。 90点未満が2回つづくと退学

  -Unitごとに大試験。 80点未満 退学。

  10ヶ月で大学院レベルの語学が身に付いた。

本に関しては、速読、超速度、精読の話。

尚、聴衆の方より本を借り、超速読の実演を行う。

2.5分で1冊読み、その内容を語った。


今回も、Q&A充実していた。


Q 集中力はどうしたらつけられますか?

A 良い文書の全文書き取りを進める。 40分できれば、かなり集中力がある。

全文書き取りをすることで集中力が付く。

Q 獄中記の読書リストに、”高校数学123ABC”がありました。どうしてですか?

A 私が高校時代に勉強したのと、どのくらい変化したのか知りたかった。 結論から言うと、線形代数と微分がかなり割愛されていた。尚且つ数学基礎論につながるリーマン幾何がまったくない。 自分が高校にいた時の2年間で教えていたものをを今は3年で教えているという感じがする。

日本の数学力の低下は深刻。抜本的な対策をたてる。

・数学の時間を増やす

・中学の数学を難しくし、高校での負担を少し軽減する。

大前提として、数学を運用する力のある講師が必要。

理学部の数学科で数学基礎論を教えられ、きちんと説明できる

・数学史の基本的な知識

・代数と幾何の関係

ライフリッツライプニッツの微分法の意味合い

・哲学、歴史の造詣が必要とされる。

数学は、重点的な科目なので、給料をぐっと上げて、優秀な人材を集める。

早急に手をつけないと、20年後に、論理はくずれるは、物事の変化していく事がわからない 恐ろしい民族になってしまう。


面白かった2時間。

えっつい拝