■「アンリ・ジャイエのワイン造り」ジャッキー・リゴー



丁度、去年の今頃、このワインの神様のインタビュー本を、何度も、何度も読んでいた。 特にワインを飲んだ時には、そのヴィンテージに対してどんな気候で、ジャイエ氏がどのように考えていたかを復習していた。

一昨日、ジャイエ氏の甥、エマニュエル・ルジェのワインを開けたので、また、ジャイエ氏の本を手にとってみた。(彼はジャイエ氏のクリマ(畑)を相続している。)

この本は、ブルゴーニュ・ワインを愛する人の必読書だ。(恐らく皆読んでいるに違いない。)

・歴史

・地形・地質

・各年の気候と特徴

を造り手として神様と言われたジャイエ氏が インタビューに答えるという形式をとりながら、まとめられた本。 各クリマの特徴やそのポテンシャルを、愛情持って語られている魅力的な記述が多い。 ブルゴーニュ・ワインに興味がない人には、かなり退屈な本であることには、間違いない。専門用語も多い。

ブルゴーニュ・ワインの面白さは、その複雑さと希少性。そしてブーケ(香り)にあると思う。

その複雑さに拍車をかけているのが、造り手。 家内手工業的な生産の構造の中で、造り手の果たす役割は大きい。ワインが全然違うものになってしまうのだ。


ちなみに、エマニュエル・ルジェのワインとアンリ・ジャイエのワインでは、クリマが同じであるにも関わらず、エンドユーザー価格は10倍以上違うが、その評価はあながち離れているとも思えない。

後書きを読んでいると、ジャイエ氏が神格化したのは、良い造り手であったことはもちろんだけれども、かれの自然への回帰という哲学が、時代にマッチしたこと、魅力的な語り部であったことがあるようだ。優れたコミュニケーション能力は如何に力をもつかという事を再認識させられる。


ジャイエ氏は、2006年9月に亡くなっているが、一度でいいから、生前会ってみたかった。

えっつい拝