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君らといると楽しい

「1日にも満たない勤務ご苦労だった、サム。」
「僕たちに構わず、国のおふくろさん大事にしてあげて。」
「エッ、モウオ別レ確定!?テイウカ、君タチニウチノ母親ノ話シタコトアッタッケ!?」
僕らはサムさんのでっかい体を無理やり立たせて、玄関の方へと引きずって行こうとする。
そんな僕らの手をふり払って、サムさんが後ずさる。
「待テ待テ待テ!!落チ着イテオ2人サン!!イイノカイ、ボクミタイナ優秀ナ人材ヲホーキシテ!?」
「やだなあ、優秀じゃないからいらない、って言ってるんだよ。」
「イヤ、全クソノ通リ!ストレートダネェ、分カリヤスクテイイ・・・ジャナクッテ!!」
たとえ有力な情報を知り得ているとしても、それを報告してくれないんじゃ優秀とは言えないよ。
サムさんはなんとかたたき出されまいと、部屋の中央にある大黒柱にしがみつく。
僕らはそれを引きはがそうと、タイガはサムさんのは右腕を、僕は左足を持って引っ張る。
「アノ、本当ネ!言ウ、言ウカラサァ!!クビダケハ勘弁シテ下サイ!!」
「いや、無理する必要は無いぞサム。お前は国に帰って、もう一度夢を追え。」
「ナンカ理由変ワッテナーイー!?」
首をふって子どもみたいにイヤイヤしながら、サムさんは必死に抵抗した。
小学生の僕らが大人の力にかなうわけもなく、サムさんは柱そのものになってしまったかのように動かない。
そんな往生際の悪さに、再び火が付きかけていた僕は思わず怒鳴った。
「ああぁ!!もういいよ河原に聞くから!もう帰れよ!!」
「ヤダーーーー!!!帰ンナイ帰ンナイーー!!クビイヤーーー!!」
「安心しろサム。退職金のばーちゃんのケーキは、後で基地まで届けてやるから。」
僕はおどしのつもりが、いつの間にか意地になって本気で辞めさせようとしていた。
『河童様に会い隊』・・・タイガが1人で発足した自称、秘密組織。
でもしょせんは子どもの遊びでしかないのに・・・。
どうしてこうもシュウチャクするんだ?
「モウカンボー長官ナンカジャナクッテイイ、仮隊員ニ降格シタッテ構ワナイカラーー!!」
「どうしてそこまでこだわるのさ?あんたはちゃんとした組織に入ってるのに、何で子どもが言ってるだけの隊にいたがるんだよ!?」
「ダァッテ楽シインダモン、君ラトイルト~!!」
あまりにも意外な答えに、彼の左足を持っていた手から力が抜けた。
急に反発する力を失ったサムさんの左足は、勢いあまって何十年と水沢の家を支える大黒柱に指先からゲキトツした・・・。