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サムの現地調査

「ボクノ名前ハサムトイイマス。1971年1月17日、ソウ、ソレハ寒イ日ダッタト聞イテマス。ア、ダカラ“サム”ッテワケジャナイヨ?アッハッハ~!!座布団1枚~!!」
静まり返る唐々沼で、約1名の笑い声がたくましく響く。
「マ、ソンナ年明ケノ寒イ日ニネ、父ハリスト母スーザンノ間ニ3人兄弟ノ末ッ子トシテ生マレタピチピチノ37歳、ヤギ座ノB型、Rhハプラスデス。デ、趣味ハーー・・・」
「もういいよ、あんたのことは・・・。」
僕はあわててサムと名乗ったおっさんをとめた。
「ソーデスカ、ココカラガ面白クナルトコロダッタンダケド・・・。」
「37年分のおい立ちでも話す気でした?」
僕に背を向けて座ってたサムさんが、首をぐるんと回して僕を見た。
「君、ホントスゴイネー!!ウチノチームニ欲シイクライダヨ!!」
「・・・知り合いに似たヤツがいるだけです。」
僕はチラッと横に立つタイガの方を見た。
「なんだコータ。こんなふざけたような知り合いがいたのか?」
自覚ナシか・・・。
「トコロデサー、少年タチヨ。」
サムさんはあぐらをかいて座っていて、首だけをギリギリまで回して真後ろにいる僕らに向けている。
「・・・コレハ一体全体ドユコトナノデショーカ?」
サムさんが座っている場所は、先日僕らが釣りのために座っていた折れた木の上。
つまり、沼の真上に1人放置している状態だ。
「まだ信用したワケじゃないってことです。」
「ウーン、ボクッテソンナニ怪シイ?」
「最っ強に怪しいわよ!!」
河原には完全に敵認定されてるな・・・。
怒鳴られたサムさんはちょっとだけ悲しそうだった。
「・・・ソレデ、何ノ話ダッケ?」
「あんたがここにいる理由、調査って一体何のことなんですか?」
「ナンダ、ソンナコトカァ!!ダッタラボクノ大学時代、バスケットボールデ『空飛ブブロッコリー』ト呼バレタコロノ話ノ方ガ・・・。」
タイガが手にしていた長い棒でサムさんの座る木を突いてゆらす。
「No~~!!ヤメテヤメテ!!猿モ木カラ落チチャウヨ!?」
「意味が全く違うよ。」
でっかい体のサムさんが必死に木にすがりついているのが、とても情けなくて少しおかしかった。
「ボ!ボク、アメリカノ某、チョー有名大学デ日本ノアル生物ノ研究シテルノ!!ホントハ現地調査ノ名ノ元ニサボリニ来タダケダッタンダケド、ナンカ、流レデコノ村ニ来チャッタンダヨ!」
サムさんが話しはじめたので、タイガがやっと手を止めた。
ふーっと息をはいて汗をぬぐったサムさんは、今度は僕らの方に向かって座り直した。
「ホントハネー、アキバニ行ッテガンダムノ限定フィギア買ウツモリダッタンダケドサ~、電車デバクチュウシテタラ、ナンモアレヘン駅ニイテサ~。」
電車でバク宙してなんだって?
「電車で爆睡して、起きたら何もない駅にいたんだって。」
「よ・・・よく分かったねタイガ・・・。」
「ん・・・なんか知らんけど分かる・・・。」
やっぱり通じるところがあるようだ。
「でも研究って一体・・・日本にしかいない生物なの?」
「ソーデース!!日本ニシカイナイ、チョーレアナ生キ物デス!!」
サムさんは長い腕を大きく広げた。
「日本ニ伝ワル、幻ノ生物!!ソノ名ハァ・・・カッパ!!ダヨ!!」
かっ・・・!!河童だってぇ!?