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身代金
Ransom
監督 ロン・ハワード
出演者 メル・ギブソン、レネ・ルッソ、ゲイリー・シニーズ
音楽 ジェームズ・ホーナー
配給 ブエナ・ビスタ・インターナショナル
劇場公開 (米)1996年11月8日 (日)1997年2月15日
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注意:映画と予告編を未見の方は再生禁止でお願いします!
旧作からひとつ。
この種の「予告編の悲劇」はいくつかあるのですが、この作品も
その中のひとつです。
私はミステリーやサスペンスが好きですので、身代金なんていう
タイトルをみただけで、もう面白そうでたまらないのですが、
配給会社はそうは思わなかったようです。
なぜなら、この予告編ではこの作品で最も肝の部分を明らかにして
しまっているからです。
本作はいわゆる倒叙モノというやつです。誘拐を題材にした
サスペンス映画ですが、序盤から犯人が誰なのかが明らかに
されています。そしてもちろん、被害者もわかっています。
その被害者と犯人、警察の3者の丁々発止のやりとりを、人物の説明を
絡めながら丁寧に見せていく展開なのですが、中盤に差し掛かった所で
驚きの展開を見せます。
ミステリー的な観点で言うと、この地点でこの物語にはこの人物配置が
必要だったことに気づかされ、うまいなぁと唸らされるわけなのですが、
そこは映画という生き物のサガか、そんな手法は通用しません。
何とこの予告編では、映画の要となる最も重要な部分が明らかに
されています。
また、編集がうまいのか予告編を見ただけで映画のストーリーの
8割方が分かってしまいます。
予告編を見てから映画館に足を運ぶと、初見にも関わらず2度目の
ような印象を受けることになります。
アクション映画ならいざ知らず、サスペンスでこれをやってしまう所に、
当時のタッチストーンの懐の寂しさが現れているようです。
メル・ギブソンさんという、アクションから立身出世した大物を使って
しまったことも、プロモーションに影響を与えた理由なのかもしれません。
アクション映画なら見所を盛り込むのが定石です。
映画を小粒に抑えて知る人ぞ知る映画にすることが正しい選択だったと
思うのですが、色々空回りしてしまったのでしょう。
公開時期も悪く、結果としてとても良い映画であったにも関わらず、
賞取りでも後塵を帰することになりました。
ただ、収益は良かったようですので、まぁ結果的には正解だったのかも
しれませんが、この驚きを予告編で失うことは残念でなりません。
いまなら簡単に目にすることのできる映画ですので、
未見の方は予告編といわず本編をお楽しみください。