Hello. I’m Kent Hirotani, an English teacher of EMDC English School.

 

言葉は変わりゆくものです。それは、学校で古文を勉強した方なら誰しもが理解していることでしょう。

 

もちろん、言葉の変化は日本語にとどまりません。英語を含むほとんどの言語は変化し続けています。

 

80年代から「political correctness」という動きがあります。

 

Political correctnessとは、「人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。」とgoo辞書に表記されています。

 

例えば、かつて、看護師は看護婦と表現されるのが当たり前でした。しかし、看護の仕事には女性だけでなく、男性も就いているのに、女性を表す「婦」を職業名に取り入れるのは不適切とみなすようになりました。このように、偏りを感じさせる言葉を適切な表現に変えていく動きを「political correctness」といいます。

 

 英語でも「Fireman」(消防士)が「Firefighter」(消防師)に、「disables」(障害者)が「physically challenged」(障がい者)などと多くの「political correctness」の例が見受けられます。

 

最近、英語教育にまつわるある言葉にもpolitical correctnessの動きが見られます。その言葉とは「native」です。

 

「native」とは「自国の」や「本来の」を意味する言葉で、しばしば母国語の話者のことを「native speaker」と表現されます。しかしこの「native」という言葉が不適切だという声が見られます。

 

それは英語話者を区別する際に「native」と「non-native」と分けられるのですが、この際に「non-native」より「native」の方が上の立場にいる印象を与えかねるという背景があります。(適切な例かわかりませんが、ローランドの「俺か、俺以外か」の区別の仕方とnative non-nativeの区別の仕方が似ていると思います。)

 

実際にグローバル企業では同じ経歴、同じ能力を持つ人間でもnativeかnon-nativeであればnativeの人を採用するといった風潮があります。また、native だからといって英語が堪能なわけでも、non-nativeだからといって英語が拙いわけでもありません。そういった事情から「native」「non-native」に代わる新たな言葉が誕生しました。

 

それが「L1」「L2」等です。

 

L1とは1つ目の言語という意味で一番最初に取得した言語、即ち母国語を意味します。L2は2番目に習得した言語を意味します。また、L3も存在しこれは3番目に習得した言語を意味します。L3を使用する例は、日本人であれば日本語、英語以外に習得した言語などはL3です。

 

なので今後

 

「native speaker」は「L1 speaker」

 

「non-native speaker」は「L2 speaker」、「L3 speaker」

 

と呼ばれるようになることでしょう。

 

こういう表現に変えることで、言語能力面での評価の偏りが少なくなることが期待されます。

 

言葉には大きな力があると思います。日本にも言霊という概念がありますが、言葉を変えるだけでも、気持ちや考え方が変わると信じています。なので、私もpolitical correctnessにのっとって新しい言葉を日常でも使っていこうと思います。