さてドイツ上陸後、最初の試練は何と言ってもビザの申請であった。

基本的にはビザセンターに行き、必要書類を提出したり軽い質疑応答をするだけなのだが

なんせ私のドイツ語力など


「ワタシ、肉欲シイ!豚!豚!チガウ!ソノ豚違ウ!!
モット右!モットモット右!!ハイ!ソレ!!ソレダ!!アリガトー!!!」

(※実際に行われた会話を再現しております)


程度の、テンションだけでなんとか乗り切れるレベル。

どう考えてもお役所での小難しい手続きなど不可能なのだが

しかし同時に、

「まぁ、外国人に対応するのが仕事の部署なんだし、英語で問題ないだろう。」


と若干暢気に構えてもいた。



さて、いざ受付の人から指定された部屋に行くと

何故か中に誰もいなかった。

あれ?トイレ休憩?

と思いつつ扉の前で待っていると一人の女性事務員がやって来たため、

受付で渡された紙を渡す私。

すると彼女なにやらドイツ語で私に話しかけるのだが

正直さっぱり分からない。


私 「すみません、この紙を受付でもらったんですけど、210号室ってここですよね?」(英語)

女性 「aqwesdrtwayufhierugjoeg ??」(ドイツ語)

私 「えー、すみません、ドイツ語ほとんど出来なくて」(英語)

女性 「awsedrftgyhujikolp;faewopkjeihu !!」(ドイツ語)

私 「ゴメン!私、ドイツ語ヲシャベラナイ!!!」(ドイツ語)


カオス・・・・・・。



と、扉の前でわいわいやっていると

そこにもう一人のこの部屋の担当者である初老の男性がやってきた。

こっちの人なら英語が通じるかも、と思い

「ビザの!申請書類を!持って来たんです!!!」


と渾身の力でもってして訴える私。

するとこの男性、ちらりとだけ私の方を一瞥し

「ファイティングフーンビー!」


と重々しい響きで何やら私に言い放った。




ファイティングフーンビーってなんや・・・・・・。





言い放たれたはいいが、

「ふぁいてんぐふーんびー」 なるドイツ語の意味が欠片も分からない私。

強いて言えばなんとなく

「ファイティング ファービー」


に聞こえなくもないが、

あのキモいぬいぐるみが戦っているからなんだと言うのだ。

新種のジャーマンジョーク?

さっぱり解読の糸口がつかめず、とりあえず

「ごめんなさい、あの、もう一度」


と精いっぱい申し訳なさそうに言ってみたのだが

返って来る答えは全く同じで

「ファイティングフーンビー」

のみ。

おまけにこの男性からは、隠す気など全くないイライラオーラがにじみ出ている。







すまん、おっさん、次回はちゃんと通訳できる人を連れて来るから、
今回はこらえてくれ・・・・!







と思いつつ、ふと視線を左にそらした私は、あるものを見つけた。

そこには小さな待合室のような空間があるのだが

その待合室の壁に

"Waiting Room B”


と書かれたプレートが下がっている。





これかーーーーー!!!!!!






一応念のため

「あの、"Waiting room B”ですか?」


と確認すると、この超不機嫌な事務員氏も重々しく同意。

英語だったんかいな・・・・


と思いつつ

「OK、そこで待ってます。」

と踵を返したのだが、その瞬間このドイツ人事務員二人組が



「あの子、英語すら理解できないのか?」




と喋っているのがうっかり聞こえてしまったのがこの日のハイライトであった。






お前の発音が斬新過ぎるんじゃアホーーーー!!!







二度と来ねぇ!と思いつつ、そうはいかないのがツライところである。




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【前回の補足】


>コジェットってなに!?




ズッキーニとも呼ばれてるそうです。

断面ははキュウリよりも、むしろナス系?