〜 エピローグ 1 side潤 〜
会社創設以来、順調に規模を拡大して来たオフィス『RUN』。
社員への付き纏いや社内での乱闘騒ぎなど、小さなイザコザはあったけれどそれも難なく乗り越え、社員は益々意気盛ん。
却って社内の結束が固くなったような、そうでもないような。
今日もいつものように朝のミーティングを終えた営業部がバタバタと階段を降りて来る。
新設されたこの課の働きで、我が社は益々業績を上げている。
お陰で俺達技術屋も忙しい日々を送っているのだけど。
特にヘッドハンティングで移籍して来た二人は、物凄い勢いで契約を取りまくっている。
大野さんはもともとその筋では有名人で期待通りの活躍ぶり。
だけど意外だったのは相葉くんで。
仕事は出来るけどいろいろと問題も多かった彼が、前職の大看板抜きでも大野さんに匹敵する活躍を見せているのは驚きだった。
結局うちの社長はじめ、本当に仕事の出来る人間は人の本質を見抜く力があるという事なんだろう。
その彼は真っ先に階段を降りて来ると、いつものように出口の反対側にある俺達のブースまでやって来た。
このフロアの中でも奥まった場所にあるブースのさらに一番奥の、モニターに埋もれるように座るその肩にポンっと手をかけた。
「かずぅ、今日も頑張って来るね♡
俺、今日は直帰で早く帰れるから晩飯作って待ってるね」
ブースの主に抱きつくような勢いで話しかける。
もともとのルックスに最近磨きのかかった太陽のような笑顔、営業先のあちこちで女子社員の人気を総なめにしているそうだ。
そんな最強の笑顔を浴びたニノはというと。
「はぁい♡
まあくんのご飯楽しみにしてるねぇ。
オレも出来るだけ早く帰れるようにするから、まあくんも頑張ってねぇ」
と、これまた蕩けるような笑顔で相葉くんを見上げる。
ニノも以前から美人ではあったけれど、格段に艶を増したその姿に男女限らず見惚れる者多数。
こんな罪作りな二人ではあるけれどこの二人がお互い以外、全く目に入っていないのも周知の事で。
社内では温かく、生温く見守る体制が出来上がっていた。
「へー、相葉くんも家事やったりするんだ」
一時ニノが相葉くん宅へ通って生活の全ての面倒をみ見ていたのを知っている俺には意外だった。
「うちはね、出来る方がやるの。
共働きだしね、フィフティーフィフティーよ」
と、相葉くんが胸を張れば
「どっちかに負担が傾くのはイヤだって、まあくんが。今だってまあくんの方が料理は上手なんだよ」
と、ニノが自慢げに飴色の瞳をクルリと回した。
つづく