当初、同棲というシチュエーションにテンション爆上がりの雅紀だったけれど
新店舗をオープンさせるという事は、並大抵な事ではなくて、毎日忙しくてラブラブ生活なんて夢のまた夢。
気持ちはあるのに身体がついて行かない事に最近の雅紀は若干凹んでいる。


俺はと言えば
まあ、寂しくない事はないけど仕方ない事だし、少なくとも毎日顔は見られるし今の所特に不満はない。
それよりも雅紀の身体の方が心配。
せめて俺に出来ることをと、毎日栄養に気を配った弁当を持たせてやることくらいしか出来てない。


そんなこともあって少しでも助けになればと、明日の店の定休日に準備の手伝いに行くことにした。
休みの日は家でゴロゴロしていると言うニノと、いつも暇そうな智も連れて行こうと仕事の合間に話していたら、それを聞きつけたフウマもついて来ると言う。
フウマは絶対面白半分だと思うけど、人手は多い方がいい。
それにフウマこう見えて頭の回転はいいし、体力もあるからきっと役に立つだろう。
とにかく
少しでも雅紀の助けになれば、と俺なりに必死だった。





翌日、俺たちは駅前の商店街の一角、真新しい『S&S』の看板の下に集まった。
朝から真夏の太陽がジリジリと照り付け、セミの鳴き声が今日も暑くなると呪いの呪文の様に聞こえる。
暑いの怠いのと朝から文句を垂れ流すニノと智と、すっかり物見遊山気分のフウマを引き連れてまだカバーのかかったドアを開けた。


「皆んな来てくれたの?ありがとう」


店の中から暑さを吹き飛ばす様な元気な声と汗に塗れても輝きを失わない弾ける様な笑顔が出迎えた。


内装が済んだばかりの店内はガランとしていて、やけにだだっ広い。
壁や床はスタイリッシュな本店とは少し違って、海に近いこの場所に似合った明るくてナチュラルな雰囲気だった。


「じゅーん!会いたかったよー!」


俺にハグをしようと両手を広げ突進してくる店主からサッと身を躱す。
いくら公認の中と言っても公衆の面前での抱擁は俺には無理!
だいたい、会いたかったってどうゆうことよ。
毎朝同じベッドで目覚めて、今朝だって朝とは思えないような濃厚なキスを出掛けにして来たでしょ!
ほらっ見てよ、うちの面々のニヤニヤした顔。
後で散々弄られる俺の身にもなって欲しい。











つづく