他に行くところが無かったから住み続けて来たこの広いだけの家。
だけど、考えてみれば無駄に広いこの家が寒々しくて、却って孤独を煽っていたのかもしれない。
大事な人が出来て一緒に暮らすなら、その入れ物だって心地よくしたい。
贅沢じゃなくていい。
カッコ良くなくたっていい。
自分たちで選んだ家。
互いの気配が感じられるくらいの、二人で日々を紡いでいけるような、そんな家。
そこで、ニノと温かい家庭を築く。
二人で笑って笑って時々は喧嘩したりして。
考えただけで心がホカホカと温かくなった。
そうだ、しばらくの間は二人だけで蜜月を過ごすとして……
そのうち、ずーっと後になったら友達を招いてみるのもいいな。
と、友達というワードを思い浮かべて自分には友達と呼べる相手が一人もいない事に気付いた。
それもこれもちゃらんぽらんな生活をしてきた報いで、仕方がない事。
それでも同時に頭の中に浮かぶ幾つかの顔。
大野さんや松潤や櫻井さん(翔ちゃん)、菊池や勝利の顔も…
みんなこんな俺を慕ってくれたり気遣ってくれたり、本音をぶつけてくれたりした人達。
これから俺はその人たちに報いて行く事がで出来るかな。
確かな絆を結んで行く事が出来るかな。
わからないけど、でも……
もし、また間違ったとしても俺にはニノがいる。
絶対に変わらない、絶対に離れないと信じられる存在。
ニノがいるから俺は何度でも立ち上がれる。
そんな確信があった。
「どうかした?」
気がつけばクリームパンのような手が俺の目の前で揺れている。
突然固まって動かなくなった俺を心配して顔を覗き込んでいた。
何でもないと飴色の瞳を見つめ返す俺に、暫くは真意を測るようにあちこちから見回していたけれど、やっと納得したようでホッとしたように笑った。
「ねぇ、ニノ。
新居、早く決めなくちゃね。
いつまでも離れ離れは寂しいし」
さっき俺の目の前を彷徨っていた手をギュッと握る。
「それは、オレだって。
じゃあ、会社の方にはオレが話を通しておくね。
その方が手続きもスムーズに行くでしょ?」
ニノの手を握った俺の手の上にさらに温かな手が重ねられた。
広い家も大画面のテレビもフカフカのソファーも、周りの物は全てが霞んで
俺の視界を占めるのは、目の前の柔らかな笑み
他には何もいらない
思いやり笑い合える人がいる
俺は今、最高に幸せだ
つづく