その後、大野さんに仕事の話を聞きながら、ニノと大野さんに社内を案内して貰った。


大野さんのプレゼンが良いのか、俺にはこの会社の業務内容、雰囲気、ともにとても魅力的に映った。
何より生き生きとしている大野さんを羨ましいと思った。


改めてそういう目で社内を見回す。
皆んなが自分の仕事に誇りを持っているのがわかる。
誰一人やらされてる感を出している社員はいない。


そこここで繰り広げられているディスカッションも、皆んなが自分の意見を臆する事なく主張している。


「……誰が上司で誰が部下かわかんないね」


言葉遣いや態度にも序列が感じられない。
確かにあるはずなのに。
それが俺には新鮮で不思議に映った。


「そんなもん関係ないだろ。
皆んな一緒に仕事する仲間なんだから」


大野さんがどうだとばかりに胸を張る。
自分だってまだ来たばかりなのに。


でも、大野さんの生き生きしてる理由がわかる。
余計なことに気を使わずに仕事に集中出来る環境は理想的だけど、それを作り出すのは難しい。
ここはそれが出来ている。


「あっ、でもな、営業は他社と関わるからな。相葉ちゃんも知ってる通りめんどくせぇ事も多い。
他社はここみたいな所はほぼないからな。
だけど、ここに戻ってくれば全部リセットされる。ホームが息しやすいのが一番だって、俺はここに来て初めて知ったんだよ」


確かにそうかもしれない。
俺もここに来れば変われるのかな。
大野さんが変わったみたいに。


かと言ってすぐに決めるには色々と準備が足りなさ過ぎる。
俺に任せると言ってくれた社長の言葉に甘えてゆっくりと考えさせてもらおうかな。


「無理はしないよ。
だけど、前向きに考えてみる」


心配そうに俺を見上げるニノに笑顔で返した。
そんな俺にニノがホッとしたように笑顔を返して来た。





大野さんが、時間切れだと外回りに出て行って、俺もそろそろ帰ろうとしていた時、下の階でガヤガヤと声がした。













つづく