「「「「「カンパーイ!!」」」」」
毎年付いてくる祝日問題のせいで、この日に開いている店は限られる。
既に御用達になっている店のいつもの奥まった個室で5人でグラスを合わせた。
長い付き合いの、いい大人たち。
おめでとうも何もないけれど皆んな心の中で思っていることは同じ。
休止中とはいえ変わらない関係性でここまで来た事にある種の感慨を胸に、それでも口に出るのは今のことで。
映画の話やらテレビの話やら話題には事欠かない。
それもこれもこんなにも長い間密に付き合っているにも関わらず、お互いへの興味を失っていない稀有な関係性のせい。
視聴者としての感想や、驚くような裏話も飛び出して和やかながら笑いの絶えない会となった。
「そう言えば大野さん最近旅行行ってるんだって?」
忙しいはずなのに情報通の松潤が、酔いが回ってヘラヘラし始めた大野に話を振る。
「やっと、動けるようになって来たから……」
あそことあそこと…
と指を折り行き先とそこでのエピソードを語り始めた。
「すげえ雄大な景色とかさ、緻密に表現されてる建築物とかさ、やっぱ本物は違うよなぁ」
嬉しそうに話す大野に4人も笑顔で相槌を打つ。
せっかくの休み、充実して過ごして欲しい皆んなの願いは叶えられているようだ。
「だけどさぁ……」
旅先での武勇伝を子供のように話していた大野の声のトーンが変わった。
斜め上を見上げて遠くを見るような眼差しの大野に一斉に視線が集まる。
「何見てもさぁ、
ステージから観客席を見上げた時の感動には、敵わないんだよなぁ」
つい口をついて出てしまったのだろう、しまったと慌てて口をつぐむけれど、時既に遅し。
雅紀の目がキラリと光った。
「そりゃあそうだよ!
あの景色は唯一無二だもん!」
「おっ、そろそろ恋しくなって来たかな?」
「俺、10月には撮影終わるよ」
身を乗り出す雅紀に続いてのニノと松潤の言葉は冗談なのか本気なのか。
間近に寄ってきた3つの顔に焦った大野。
「ち、ちょっと待って。
もう少し、もう少しあちこち行かせてっ!」
たじろぐ顔に3人も笑い出す。
「くふふっ、俺もね、まだまだパワーアップする予定だから」
「おっ、何か決まった?」
「まだナイショ!」
「おじさん肥るなよ」
「ちゃんと筋トレしてるって!
見ろ!!」
「「「おおーっ!!」」」
ヨロヨロと立ち上がった酔っぱらいの見事に割れた腹筋に上がる歓声。
そんな光景を微笑ましく見ながら翔は何杯目かのグラスを傾けた。
おわり