「ニノがカイトのことを知ってたなんて、びっくりした。
じゃあ、俺たち近所に住んでたってこと?」

「そうね。
あなたがカイトを拾った場所の近くに公園があったでしょ?小さい頃からあの公園にはよく行ってた」

「へぇーホントにご近所さんじゃん。
だけど、ニノと俺は2つ違いでしょ?
おれ、学校でニノを見かけたことなんてないよ。
気付かなかっただけ?」

「学区が違うの。年が違って学区が違えば普通接点なんてないでしょ。
オレがあなたとカイトによく会っていたのは、オレがあなたとカイト目当てにその近辺をうろうろしてたから。
あなたの後をこっそり付けて家まで行ったこともある。表札を見てあなたの苗字もわかった。
その時から相葉雅紀はオレの中で特別な名前だったの。
気持ち悪いよね。
オレはその後も何年もこっそりあなたとカイトを見に行ってた。
あなたはいつも友達の真ん中にいてキラキラしてた。
いつしかオレはカイトよりもあなたに会いたくてそこに通うようになってた」

「そんな前から俺のこと知ってたんだ。
声かけてくれれば良かったのに」

「出来るわけないでしょ。
オレはカイトを捨てた人間なんだよ。
しかも、あなたをつけ回してるストーカー。
完全に悪人でしょ。
その時のオレはね、あなたを見ていられればそれで良かったの」


ニノはそこで一度話を切ると、もう冷めてしまったコーヒーを啜った。
当時を思い出しているのか、遠くを見る目には今までよりも深い影がさす。


「だけど、突然あなたは姿を消した」


それを聞いて思い当たった。
それは、両親が離婚して引っ越した時だ。
あの時俺は大学生だったから、本当に何年もニノは俺を見ていたことになる。


「何日も姿が見えなくて、家に行ったらもう引っ越して空き家になってた。
それっきり、あなたの行方はわからなかった。
後悔したよね。あなたに話しかけなかったこと。
何年も見てるだけで満足してたから、あなたを探す術が何もなかった。
それっきりどうすることも出来ずに、月日だけが過ぎて、オレの家も引っ越したりして、もう二度とあなたに会うことは出来ないんだと思ってた。
だけど、オレの心の中にはずっとあなたがいて、結局あなたを忘れさせてくれるような人には出会えなかった。
オレは子供の時からずっとあなただけだった」















つづく