「相葉さんのためって言うより、俺のため。
だから、あなたは全然気にしなくていいの。
それだってあなたがさっさと辞表出しちゃったから、何の役にも立たなくなっちゃった」
「なんで……そこまで…
俺なんかにはそこまでしてもらえる価値ないのに…」
「ちょっと、俺なんかってやめてくれる?
オレの大事な相葉さんなんだから。
あなたはね、スッゴイ人なの。
オレのヒーローなの」
「ヒーローって…
俺そんな凄いことした覚えたないけど」
独特の単語に映画や特撮物が浮かんで、非現実さと自分とのギャップに混乱してる。
そんな俺に対してニノはまるで夢見る少女のように幸せそうに微笑んだ。
「んふふっ、それでもね。
あなたはオレだけのヒーローだから」
そして、俺の顔を正面から見上げると、少しだけ戸惑ってから意を決したように口を開いた。
「寝室にあったよね。あなたの愛犬の写真。
あなた、拾ったって言ったでしょ?
……あの仔を捨てたのはオレなの」
「カイトを?」
「そう。
オレもあそこで仔犬を拾ったんだけど、親に飼えないから元の場所に戻して来なさいって言われちゃって。
仔犬はまだ赤ちゃんだし、外は雨だし、このまま元に戻したら死んじゃうかもしれないし。
オレなりに一生懸命お願いしたんだけど、どうしてもダメで。
当時オレは小学生で、結局親には逆らえなくて。
泣きながら元の場所に戻したの。
だけど、やっぱり心配で仔犬を置き去りにしたまま帰れなくて、物陰からずっと様子を見てた。
誰か気づいて、誰か助けてって願いながら。
そうしたら、学ラン姿の子が通りかかって、何の躊躇もなく仔犬を抱き上げて連れてってくれたの。
オレは凄く嬉しかったけど、だけどやっぱり心配で……
だって、その子だってまだ中学生くらいで、親に反対されたらオレみたいにまた戻って来ることだってあるわけだし。
だから、オレは何度もその場所に通ったの。
だけど仔犬は戻されることはなかったし、暫くしたらあの仔犬と散歩するその子を見かけるようになった。
仔犬は元気にどんどん大きくなっていったし、その子はいつも楽しそうに仔犬に話しかけながら散歩してた。
その子が犬のことをカイトって呼んでたから、オレはあの犬の名前がカイトだって知ってた。
何度も通ううちに、オレはカイトと一緒じゃないその子にも会うようになった。
学校の帰りなのかな、鞄を肩に友達と歩く姿を見かけるようになって、友達が呼んでたからその子の名前がマサキだって知った」
「ちょっ、ちょっと待ってよ」
オレの話を神妙な顔で聞いていた相葉さんがその話を中断させるように手の平を上げた。
つづく
この後も、ほぼモノローグが続きます。
ダラダラと文字が並びますがご容赦ください(^^;