起き上がりたくなんてないのに、生理現象って奴は容赦がなくて、トイレに行くためにベッドを降りた。


リビングに出ると床に転がしたままだった鞄がソファーの上に置かれていた。
昨日俺が汚した廊下も綺麗に拭き取られている。
あの状態のニノが片付けて行ったのは間違いなかった。


俺はそこを素通りしてトイレを済ませ、キッチンの水道に口を近づけると直接水を喉へと流し込んだ。
そして寝室に戻ると、着たままだったズボンとワイシャツを脱ぎ捨て、パンツとアンダーシャツだけになって再び布団に潜り込んだ。


一睡もしていない身体は、ようやく俺を微睡の世界に連れて行ってくれた。


それでも浅い眠りを繰り返し仕方なく目を開けた時、部屋の中はまた真っ暗だった。
枕元の目覚まし時計を見ると20時をまわっていた。
完全に昼夜逆転している。
だけど、会社に行くわけでもない俺にはなんの問題もなかった。


気分は相変わらず最悪で、このまま闇に溶けてしまいたい、と思うのに


……ぐううぅぅっ…


腹の虫が鳴る
喉も乾いた
俺の身体は俺に生きる為の努力をしろと要求する
仕方がないから冷蔵庫でも漁るかとベッドから立ち上がりかけた時、玄関のチャイムが鳴った。


この家で俺の許可なくあのチャイムを鳴らせるのは一人だけ。


まさかまた来たのか
あんな目に遭ったっていうのに


俺は驚きながらも慌ててベッドに戻って布団を頭まで被った。














つづく