いつの間にか俺の恋人とマブダチになっている、大ちゃんこと大野智は俺の従兄弟。
でこの辺り一帯の土地は山も含めて智の持ち物。


この店の土地も智に貸してもらってる。
智の家は店の隣りで、俺はその離れに住まわせて貰ってる。
リフォームもしていない古い日本家屋だけど、寝に帰るだけの俺には充分だった。


智の本業は画家。
だけど、気が向かないと描かないから、趣味の魚釣りと家の前の畑での野菜栽培の方がよっぽど本業に近いかもしれない。
もっとも観光地に近くてなおかつ閑静なこの辺りは物件として人気があって、貸し店舗や貸し家の家賃収入だけでも十分な収入になっている筈。


「なあ、ニノ、見てくれよこのスズキ、デカイだろう?釣るの大変だったんだぜ。
刺身にしたら、美味いぞー。
あと、こっちはトマトとキュウリにナス。いい形だろう?」


そんな智はニノがうちに来たすぐの頃からニノに気があるらしくて、今日もせっせと自分の成果をアピールしている。


「ここは日本料理屋じゃありません。
それにわたしは刺身食べられない。
潤くん、これムニエルでいいかな?」


智の努力も虚しく、今日もニノは素っ気ない。
釣りたての魚を前にもう今日のディナータイムのメニュー作りに余念がない。


「なあ、明日定休日だろ?
今夜みんなでうちで飲もうぜ?」

「いいね!飲もう飲もう!」


それでもめげない智の誘いに一番に乗ったのは雅紀で


「何言ってるの?
あなた明日仕事でしょ?
遅くなったら電車無くなっちゃう」


そうじゃなくても俺に合わせて無理しがちな雅紀を心配しての言葉だったんだけど


「潤の家に泊まればいいじゃん。
なあ、相葉ちゃん」

「あっ、それいいね」


何にも考えてない智の言葉に雅紀が嬉々として乗っかった。












つづく