そしてニノが出張から帰ってくる日が来た。
その日は朝から連絡が入っていて「今日行っていい?お土産待って行くね」とテンション高い絵文字つきの文章に思わずニヤけた。


仕事が終わったら早めに帰ってニノが来るのを待とう。
そんなことを考えるだけで、ここしばらくの間のモヤモヤが消えて行くようだった。


会社への報告や挨拶なんかもあるだろうから、うちに来るのは遅くなるのかな。
まあ、泊まって行けばいいしね。
夕飯はニノの好きな物でも作ってやろうかな。
家に帰ってキッチンで買い込んで来た食材を片付けをしていると

ピンポン!ピンポン!ピンポン!

けたたましくインターフォンが鳴った。
ニノ?思ったより随分と早い。
しかも、いつもとは明らかに違う鳴らし方。
モニターを覗けばニノの血相を変えた顔。


何だかイヤな予感を感じつつエントランスの鍵を開けた。


玲美ちゃん家に行ったこと、聞いたのかなぁ。
やっぱり怒ってるのかなぁ。
久しぶりに会えるの楽しみだったのに、何だか憂鬱になってきちゃったなぁ。


こんな時ばっかり時間が経つのが早くて、あっという間に玄関のベルが鳴った。

ピンポン!ピンポン!ピンポン!

エントランスの時と同じように物凄い勢い。


「わかったから、今開けるから」


聞こえるわけがないのに、玄関に向かって言いながらそっとドアを開けた。
途端に、ほんの少し開いたドアにかかる丸っこい指。
柔らかそうな見た目とは裏腹にガッと音が聞こえるよう。
そのまま勢いよく引っ張られて、ドアの向こうにニノの姿が現れた、と思ったらそのままズンズンと家の中に入って来た。


勢いに押されて後ずさる俺は、そのままリビングまで後ろ歩きする羽目になった。


俺を押し込んだニノは、どこにそんな力があるのか俺をソファーに押しつけて、自身もそこに身体を乗り上げた。














つづく