風呂上がりのせいかいつもより上気して赤みを帯びた頬、潤んだ瞳、ほんの少し寄せられた眉。
それらが放つ壮絶なまでの色気。
ずっと二宮を見てきた俺でもこんな姿は初めてで……
早く飯を食わせて寝かせないと、俺の歯止めが効かなくなる。
有り合わせで作ったオムライスとスープを、二宮は美味しいと食べてくれたけど
その顔は心なしか暗かった。
よっぽど疲れているんだろう。
ゆっくり休めるようにとベッドを二宮に譲って俺はソファーに自分用の寝床を作った。
ベッドに入るとすぐに二宮は寝息を立て始めた。
やっぱり疲れていたんだ。
隣に潜り込みたい衝動を抑えて、ようやく見せた安らかな寝顔。その額にそっとキスをした。
俺だって寝たのは遅かったっていうのに、いつもより早くに目が覚めてしまった。
それは久しぶりのソファーのせいじゃなくて
原因は、やっぱり俺のベッドで眠っている二宮なんだろう。
いい歳をして、好きな相手が手の届くところで寝ているってだけで落ち着かないなんて、ガキじゃああるまいし。
しかも、俺だぞ。
その気になれば相手なんて引く手あまた、男女問わずどれだけ場数を踏んでいることか。
今さらそんなことあり得ないと自分を省みたって、現実そうなんだから仕方がない。
それだけ本気だってことなんだろう。
どうせもう眠れそうもないし、起き上がって寝床を片付け洗濯済みの二宮の着替えの用意をする。
朝からアイロン掛けたのなんて初めてだ。
朝飯の用意が出来たところで時計を見ればちょうどいい時間。
二宮を起こそうと寝室に入ると、起きている時には考えられないようなあどけない寝顔。
いい具合に寝癖の付いた髪を撫で付けても起きる気配がない。
吸い寄せられるように顔を寄せ、薄く開いた唇に己の唇を合わせようとして、間際で思い止まった。
すうっと息を吸って
「おいっ!二宮起きろ!朝だぞ!」
声を張って暖かいその肩を揺すった。
閉じていた瞼がうっすらと開く。
ここが何処だかわかっていないんだろう、ぼんやりと、それでも徐々に焦点が合ってきて……
ようやく俺の姿を認めていきなり慌て出した。
バツの悪そうな顔で寝室から出て来て、テーブルの上の朝飯に目を丸くしていた。
二宮には朝飯の習慣が無かったようだけど、しっかりと完食してくれた。
いくら若くたって、昨日の今日で疲れは完全には取れていないだろう。それでも仕事は待ってくれないし、休ませてやるわけにもいなかい。
せめて胃袋にガソリンを詰めてやって今日も頑張るぞと渇を入れた。
つづく