決して慣れたくはないけど、お決まりのホテルのスウィートルーム。
全身ピンクのオヤジを寝室に追いやって、取り敢えずひと山越えたとドカリとソファーに腰を落とせば
途端に二宮の質問攻めが待っていた。



二宮の疑問に一つ一つ答える。そんな中で、俺の過去やら俺と彩華さんとの関係にいちいち顔が曇る二宮。
お前、今自分がどんな顔してるかわかってるのか?
自分では気づけないらしい二宮の背中を少しだけ押してやる。


「お前、何で編集長じゃなくて俺に電話してきた?」


その意味を考えれば……
結論は一つしかないだろう?


「……松本さんの顔しか浮かばなかったんだよね」


ほらっ、それが答えじゃん。
自分でここまで言ってるくせに、全然ピンと来てないんだな。


いい加減に、気付けよ。
俺の我慢だっていつまでもつかわかんないんだぞ。


葛藤する俺を見返すのは、俺の下心なんて微塵も感じ取っていない無垢な瞳。


ぼうっとするな。
半開きの唇が無駄に色っぽいから。
柔らかな頬に手を伸ばし、その唇を塞ぎたくなるじゃないか。
俺は今、簡単にそれが出来る距離にいるんだぞ。
たとえお前の同意が無くても。


無意識に伸びた手を、何とか意志の力で頭の上に乗せ、滑りのいい髪をクシャクシャと撫でた。


たったそれだけのことだって離れがたくて。
このままここにいたら、とてもじゃないけど俺の理性がもちそうもない。
振り切るように立ち上がった俺の後を追って来たお前を元いた場所へと押し返す。


呆気なくソファーに尻餅を着いたお前が、ポカンと俺を見上げた。
だから、その顔を止めろって。


後は一人で大丈夫だよな。
お前なら出来るから。
俺はお前を信じてるよ。


また、そんな不安そうな顔をするなよ。
お前を置いて帰れなくなるだろ。












つづく