「もう、いいよ」



これ以上聞きたくなくて耳をふさいだ。



松本さんはオレの正面に座り直して、その大きな手でオレの手を包み込んでそっと耳から外す。

そのまま顔が近付いてきて、お互いの鼻がくっつきそう。



だから、さっきから松本さんの醸し出す雰囲気が甘いんだよ

いったいどうしたっていうんだよ



「いいか、これから言う言葉はお前が言った言葉そのままだからな」



ちょっとだけ上がった口角が凄く魅力的。

なのにその魅力的な唇からどんな言葉が出てくるのか怖くてしかたがない。

オレがビビってるのをわかってるくせに松本さんはそれにはかまわず口を開いた。



「オレ、松本さんが好きだ。

オレを見て。オレだけを見てよ」



………………



う、ウソだろ

ホントにオレ言っちゃったの?

こんな大事なこと

酔っ払った勢いで?

しかもまったく覚えてないって



最っ悪だ……



しかもこんな顔だったって、松本さんは涙うるうるの上目遣い

顔真似までしなくていいっての



ショックで俯いてしまったオレから松本さんがすっと離れた。



「ウソだ、オレがそんな事言うわけない」



松本さんが嘘をつくとも思ってないけど、嘘であってくれと願いも込めて頭を振った。



「何だよ、嘘だったのか?

そんな気は少しもなかったのか。

もしかしたらお前も俺と同じ気持ちなのかと思ったけど、違ったんだな」



そういうと松本さんはくるりと背中を向けてしまった。












つづく