「気分は?大丈夫か?」


頭まですっぽり布団を被ってしまったオレに、松本さんの心配そうな声。


そうっと布団から頭を出すと、その声とは裏腹に笑顔の松本さん。


「水、飲めるか?」


枕元までやって来るとオレを抱え起こして、背中を支えるためにオレの後ろに座った。
そのままキャップを外したペットボトルを口許に寄せてくれる。


オレが倒れないようにって配慮なんだろうけど。


これって、見ようによってはバックハグじゃあ……


いや、きっとオレの思考がそっちがわに向いちゃうだけだ。だけど、そう思ってしまったらこの態勢で水を飲ませて貰うのが恥ずかしい。


それに……


何だか松本さんの様子が、少しおかしい……


何て言うか、今までより距離が近いし…
オレを見る眼差しが、甘い?ような……


飲みきれなかった水をベッドサイドのテーブルに置くためにほどかれた松本さんの腕。


だけど、松本さんはそこに座ったままで。


「メシは?……無理か……もう少し寝るか?」


背中から囁かれる声がオレの耳をくすぐる。


こんな距離感、 今までなかった。


理由がわからなくて、戸惑いまくるオレを見下ろす松本さんがクスクスと笑い始めた。


「お前、夕べ自分が言った言葉、覚えてないんだろ」


夕べ?
オレ、何か言った?
………何にも思い出せない。


キョトンと松本さんを見上げる。
それで松本さんは察したらしい。


「夕べ、お前酔っぱらって自分家の住所も言えなくてさ、それで俺ん家に連れてきてんだよ。
そしたらお前、玄関に入った途端にさ」


クスクスクスクス、可笑しそうに笑う松本さん。


何なんだよ、オレ、何しでかしたんだよ。











つづく