トントンと階段を上がってくる足音。
トレーの上のアイスコーヒーの氷がカランッと音を立てた。
「別にインスタントでもいいのに」
小さなキッチンの棚に並んだインスタントコーヒーのビンを見ながら言うと
「そっちは営業時間外用。
どうせなら美味しい方が良いでしょ」
この人特有の柔らかい笑顔とともに、小振りなテーブルにグラスが2つ置かれた。
二人掛けのソファーが1つしかないこの部屋の、オレの隣に座った相葉さんが至近距離でオレを見下ろす。
ほんの少し触れる肩から伝わる体温。
外は今日も猛暑だっていうのに、この部屋だって緩いエアコンと扇風機が回っているだけ。
決してキンキンに冷やされてるわけじゃあないのに。
これはきっとこの人の人徳。
隣のあなたのぬくもりに安心して
自分でもよくわからない心の揺れを話していた。
オレの話を黙って聞いていた相葉さんが、グラスに口を付けながらくふふっと小さく笑った。
「それ、俺が答えちゃっていいのかなぁ。
自分で見つけたくない?」
「自分じゃわからないから相談してるんだよ」
「悩んだり迷ったりも楽しいのに……」
「相葉さん!」
いつまでもはっきり言ってくれない相手を軽く睨んだ。
相葉さんはそんなオレを優しい笑顔で見返して
「松潤はカッコいいよね。
外見だけ見ても誰でもそう思うだろうけど、ニノはそうじゃないんでしょ?
松潤の中身、人としてもカッコいいし、顔に似合わず心根が暖かいしね」
「顔に似合わずは余計」
「くふふっ、はい、すいません。
……尊敬はしてるけど、松潤みたいになりたいとか目標にするとか、そういうんじゃあない」
オレの思いを纏めていく相葉さんの言葉に頷いた。
「あんな風に仕事が出来たらいいと思うけど、オレが真似したところで松本さんと同じ結果が残せるとは思えない」
「そうだね。
松潤とニノはタイプが違うから、同じやり方じゃなくていいと思う」
タイプが違うと言われて軽く傷つく自分がいる。
タイプが違うのなんて自分でもわかっている筈なのに、距離が出来たみたいでイヤだなんて。
そんなことを思ってしまう自分がわけがわからなくてモヤモヤしてしまうんだ。
そんなオレに気が付いた相葉さんが違う違うとオレの顔の前で手を振った。
つづく