オレは店をやりながら『PARADOX』の若い奴らの、飯の世話と時々話し相手なんかをしている。
ユウリとリョウスケに、二人には手が回らないキャストの教育と相談役を頼まれたんだ。
オレはここにいた時世の中で頼れる人間は誰もいない、独りぼっちだと思っていた。
だけど、自分でそう思い込んでいただけで、実際はそうじゃなかった。
オレの側にはずっと潤くんと大野さんがいてくれたし、ここから逃げた時だって雪乃さんやかっちゃんをはじめ、オレの力になってくれる人がたくさんいた。
オレが他人から多くのものを貰ったから、オレに出来ることがあるならしてやりたいと思ったんだ。
「なにこれ!うめぇー!
さばの味噌煮なんてじじくせぇと思ってたけど
うめぇよ、ニノさん」
「だろ!?
大野さんから大量に送られて来たからな。
明日はどんな料理にしようかな」
「えー、明日は肉がいいようー」
「おれもー」
囲んだ食卓で一斉に声が上がる。
年の近い奴らの集まりだからか、今どきだからなのかこいつらは明るく屈託がない。
だけど、みんなそれなりに事情があって、誰一人好きでこの仕事をやってるわけじゃない。
今は、ここでしか生きて行けない奴らなんだ。
オレたちがそうだったように。
「……あの、ニノさん」
片付けをしていた大吾が、店から顔を覗かせた。
この大吾も怪しい裏通りでウリをしようとしていた所をリョウスケに拾われてきたんだ。
だけど、自分でウリなんてしようとしたくせに、いざとなったらどうにも男 に抱 かれるって事が出来なくて……
それで、オレの手伝いをしてもらっている。
どうやら、こっちの仕事は性に合ったらしくて、今は調理師免許を取る夢に向かって頑張っている。
その大吾の困った顔。
「……あのう…また、こっちに来ちゃって…」
「またぁ?」
オレは急いで手を洗うと店にとって返した。
つづく