突然オレの前に現れた懐かしい顔。
飯を作っている時も、それを食わせている時も、二人のうちのどちらかがオレにピッタリと寄り添っている。
そして、もう片方は必ずオレと玄関の間に陣取っている。
それでも時々見せるほんの少しの隙。
ここぞとばかりに逃げ出そうとするオレは、その度にどちらかに床に沈められることになった。
こいつら、いつの間に体術なんて習ったんだ?
聴くと大野さんと同じジムに今も通っているらしい。
大野さんはとっくに辞めたっていうのに。
体力でも技術でも敵わないとわかってようやくオレは脱走を完全に諦めた。
「あー、もうっ!わかったよ。逃げないよ!」
半ばやけっぱちで言うと、ボスンッとソファーに身体を沈めた。
「初めからそうしててくれれば、痛い思いしなくてすんだのに」
これでも超優しくしたんだよ。と、隣に座ったリョウスケがニカニカと笑った。
「テレビでも観る?ゲームもあるよ。
ってこれ、この間出たばかりの最新作だ!
見てよリョウスケ」
最新のゲームにテンションの上がった二人がコントローラーを手に早速プレイを始める。
しっかりとオレの両脇を固めたまま。
仕方なく画面を観ていると、だんだんと瞼が重くなってきた。
そういえば、ふた晩まともに寝てなかったな。
と思ったきりオレの意識はそこで途絶えた。
「ニノさん、ニノさん、起きて。始まるよ」
身体をガシガシと揺すられて目を開ける。
目の前には見覚えのある顔。
誰だっけ?
そんな事をぼんやりと考えていると耳に入ってくる声。
この声は!
途端に飛び起きて声のした方を見ると、真っ白な羽織袴姿のあなたがテレビの中で笑っていた。
つづく