だけど、その日駅で待つ俺の元にニノが来ることはなかった。


列車の出発ギリギリにかかってきた電話。


『オレ、行けない。潤くんゴメンね』


ニノからの電話はそれだけで切れた。
それっきり、こっちからいくらかけても電話は繋がらなかった。


なんで!
なんで!


俺は独りで列車に揺られながらそればかりを考えていた。
突然のニノの裏切りの理由が分からなかった。


俺のこと好きじゃなくなったのか。
俺がニノを想うほどニノはオレを想ってなかったのか。
所詮学生の俺との生活が不満だったのか。


ニノが来ない理由を探すけど、結局は何もわからないまま。


だけど、ニノは来なかった。
それが全てだった。


ニノ、なぜ何も言わない。
俺はそんなに簡単に捨てられる相手だったのか。









深い絶望と共に始まった大学生活だけど、それ自体は順調で、学生生活は楽しかった。
すぐに友達も出来た。


何よりいきなり目の前に開けた世界は刺激が多くて、日々があっという間に過ぎていった。








大学に入学して半年経った頃、俺は偶然あの日のニノの真実を知った。


俺とニノがあの町を出ようと約束したその日の朝、ニノの親父さんが倒れたんだ。


仲の良い親子だった。


たった一人の身内になってしまった親父さんをニノはとても大事にしていた。
病に倒れた親父さんを置いて行ける奴じゃない。


あの日ニノは来れるはずなかったんだ。










つづく




続きは28日22時にアップします。