年末の上り新幹線、しかも夜、指定席車両はガラガラだった。
それでも再度かかってきた大野さんからの電話に小声で返す。
内容は、駅で櫻井さんが待っている改札の番号を知らせるものだった。
大野さん相手じゃあ、ちっとも相葉さんの様子がわからない。今さらながら櫻井さんと番号の交換をしていないことを悔やんだ。
今、この時に何も出来ることがない。
それが焦燥感を煽る。
櫻井さんが駅に来るくらいだから、命にかかわることじゃあない……と思いたい。
だけど…意識を失ったって……
オレの所に来てくれたあなたをあんなに邪険にしたのに、あなたの元へ行くと決めたせいか、気ばかりが焦る。
一刻も早くあなたの顔が見たい。
ようやく駅に着くと、教えられた開札へとにかく急いだ。
相変わらず芸能人顔負けの美形を目に留めて、駆け足で改札を抜けるとその相手に飛び付いた。
「相葉さんは?」
必死なオレとは対照的に櫻井さんは冷静で
「とにかく、車に乗って」
前を歩きだした。
乗せられたワゴン車の後部座席。
「相葉さんの容態は?」
ほとんど運転席に被さるように詰め寄るオレに、車を発車させた櫻井さんが
「過労です。病院で点滴を受けて今は自宅にいます」
「何で入院しないの?!」
「入院したところで寝ていられるのは明日まで。
それに、病院にはあなたに来て貰えないと相葉が。
連絡をすればきっとあなたは来てくれると信じていたようですよ」
なんなのそれ、オレはあなたの罠に掛かったってこと?
ムッとしているオレにほんの少し目を細めた櫻井さん。
その声がぐっと低く音を下げた。
「過労ではありますが、点滴をしても熱が下がっていません。今頃はベッドから降りられないはず。
休みは明日だけ。
どうしても、大晦日の大舞台を失敗するわけにはいかないんです。
二宮さん、相葉をよろしくお願いします」
オレが来ると信じてたあなた、それに乗った櫻井さん、大野さんと潤くんもグルかもしれない。
よってたかって嵌められたようで腹が立つ。
でも、高熱で寝込んでいるというあなたと、目の前で神妙な顔で頭を下げる櫻井さん。
オレはハアッとひとつため息をつくと
「じゃあ、買い物したいんでちょっと寄り道してください」
必要なものを頭の中でピックアップしながら背もたれに寄りかかった。
つづく