予約忘れ………すいません💦
相葉さんから何度か聞いた『翔ちゃん』という言葉を思い出していた。
ほんの少し甘えの入った、声。
それだけで相葉さんがどれだけこの目の前の人を信頼しているかが伺い知れた。
だけど、オレたちの事までこの人に相談していたのかと思うと……
ちょっとだけイヤだと思ってしまう自分の小ささが情けなくなる。
櫻井さんは、そんなオレの戸惑いなんかお構いなしに話を続ける。
「実は私は、相葉があなたの元へつまり『PARADOX』へ通い始めた頃から二人の仲を知っていました。
もちろん、プライベートな事なので、相葉からは何も聞かされてはいませんが、そこは、蛇の道は蛇と申しますか、少し調べれば。
何より相葉は……その……嘘が下手でして…」
まず、相葉さんが話していた訳じゃないって知ってほっとする。
そして、見るからに出来るこの人なら調べる術はいくらでもあるってことだ。
それに……うん、相葉さんは真っ直ぐな人だから隠し事とか出来なさそう。
隠してても滲み出ちゃう、みたいな。
そんなところもあの人らしいなんて、丸ごと肯定してしまう、あの人に対するオレの甘さもくすぐったくてどうにかしてほしい。
だったら、この人がオレに会いに来た理由は?
オレみたいなのが傍にいたら迷惑だから別れろって?
そんな事はオレだってさんざん考えてきた。
だけど、どうしても止められない想いもある。
悩んで悩んで、やっと前に進もうと決めたんだ。
二人の為に、オレたちの関係を隠し通す覚悟もある。
事務所の圧力くらいじゃあ、引くわけには行かないんだよ。
オレは半ば臨戦態勢で目の前のイケメンを見返した。
そんなオレに気づいた櫻井さんの目が、ふっと優しく細められる。
「相葉はあなたに出会って変わった。
これまで、この世界で着実に地位を築いていっても、いつもどこか自信がなくて、周囲に流されてしまう。時にはそれが仕事に影響することもあって、歯がゆく思うこともあったのですが」
「回りの人を立てる優しさは相葉さんの利点なんじゃないですか?」
あの人の優しさを弱さだと言われて、思わずムキになって反論した。
「確かにそうです。ても、時には主張が必要なこともあるんです。相葉にはそれが出来ない。摩擦を恐れるあまり、どうしても引いてしまうんです」
「我々でフォロー出来る事には限界がある。この世界、結局は個人の力で進むしかないんです」
きっと今まで悔しい思いもたくさんしてきたんだろう。そう言う櫻井さんには、その頃を思い出してか苦悩の表情が浮かんでいた。
つづく