立て続けに大きな仕事の入ったあなたは多忙を極め、一緒に餃子を作ったあの日以来なかなか会いに行くチャンスがなかった。


淡々と過ぎていく毎日。
それでもあなたとの事を前向きに考えようと決めたオレの心はいつになく晴れやかだった。





今日も大野さんちでの仕事を終え、自分の部屋に帰る。


最近は、大野さんがいてもいなくてもあの部屋に集まってくる奴らの飯の面倒まで見ているオレを、面倒見られているあいつらが『寮母さん』なんて冗談で言ってくるようになった。


最初の契約と違うじゃん。
なんて文句を言ってはみたけど、いくらオレが文句を言っても大野さんはまったく意に介さないし、実のところ、オレもあいつらと飯を食って話すのは嫌いじゃなかった。


いろんな経緯でここに来たあいつらが、いつか自分の道を見つけて出て行くのを見守ってやりたい。


なんとなく、なんとなくだけど
そう思うようになった。


オレが他人のことを気に掛けるなんて。
オレ自信が思ってもみなかった自分を見つけて驚いている。


今まで生きてきた中で、そんなことを考える余裕なんてなかったから。


今、オレがあいつらの話を笑って聞いてやれるのも、みんなあなたがいてくれたから。


こんなオレを一心に想ってくれるあなたの存在がオレに自信を持たせ、心に余裕を与えてくれるんだ。



あなたに会えない日が続いても、オレの心はいつでもあなたと一緒にいる。


そんな事を考えてる自分に
少女マンガかよ!
なんて、自分で突っ込みを入れて赤面している。


そんな自分がやたら恥ずかしくて、そして嬉しい。


初めてなんだよ、こういうの。


いわゆる両思いっていうの?


想う相手に想われるっていう、世の中のみんなが普通に味わってる感覚が、オレには特殊過ぎて。
誰に何を言われたわけでもないのに、何だか妙に恥ずかしくて、だけど、無性に嬉しくて。
気がついたらニヤニヤと緩んだ顔の自分がいるなんて信じられないんだ。


ああ、そういえば、ユウリやリョウスケにも


「ニノさん、最近良いことありました?」


なんて聞かれて……
バレバレじゃん!


それ以上突っ込まれたくなくて誤魔化すのに必死なんて、そんなのオレのキャラじゃないし。






ベッドに寝転がって、いつかかってきてもいいように、すっかり癖になった携帯を胸に抱えながらやっぱりにやけていると、待っていた着信を音と振動が知らせてきた。


来た!!!


急いで画面を見ると、電話の相手は大野さんで一気に力が抜けた。






今帰って来たばかりらしい大野さんが
用があるからすぐに来てほしい。って。


珍しいこともあるもんだと思いながら部屋に行くと、玄関に見知らぬ男物の靴。


来客?こんな夜更けに?
お茶でも出せってことなのか?


首を傾げながらリビングの扉を開けると、ソファーに座っていた男がスッと立ち上がった。


見覚えのあるイケメン。


身長差からなのか、その意思の強そうな大きな瞳が、
オレを見下ろしていた。














つづく