翌朝、
大野さんの部屋に行って洗濯機を回しながら簡単な朝食を作る。
昨夜も遅かっただろう大野さんを、一般の会社員よりは遅い時間に起こして朝食を食べさせ、
今日も会合があるというので、身支度をさせて送り出す。
やっと空になったベッドのカバーを外してもう一度洗濯機を回し家中の掃除をしていると、あっという間に正午を回った。
するとインターフォンを鳴らすことなく、ガチャガチャと玄関ドアが開いて
「ニノさんいるー?腹減ったー」
「こんにちはー」
賑やかな声が聞こえてきた。
入ってきたのはリョウスケとユウリ。
二人とも大野さんが連れてきた『PARADOX』の新人。いわば、オレの後輩。
境遇はそれぞれだけど、年の近いこの二人は仲が良くて、ユウリは自宅からの通いだけど、仕事で遅くなる日はここに住むリョウスケの部屋に寝泊まりしていた。
そして、昼間ここに居るときには、当然のように大野さんの部屋に来て飯を食っている。
作るのは大概オレ。
最近、潤くんは忙しくなってなかなかこの部屋に詰めていられないから。
「何だよ今まで寝てたのか?なに食いたい?」
一息つく暇もなく、オレはキッチンに入っていった。
「だって、昨日はゲストの都合で開始が遅くてさぁ……
あっ、俺、米、米食いたい!」
極限までブリーチした、銀髪に近い髪の毛をモシャモシャと掻きながらリョウスケが欠伸をする。
「ユウリも一緒でいいの?」
予め冷凍してあったご飯をレンジに入れながら、リョウスケの後ろから入ってきたユウリに聞く。
「はい。俺は食えれば何でも。
ニノさん、手伝う?」
サラサラの黒髪から覗く丸い目。
実際にも二十歳そこそこだけど、見た目は更に幼く見えるユウリがキッチンのオレの所にやってくる。
「あぁ、ありがと。
ほら、リョウスケも来い。
自分の食うもんなんだから、自分で用意するんだよ!」
「えぇー、大野さんがぁ、ニノさんに飯食わせてもらえって言ったのにぃー」
グズグズ文句を言いながら、それでもキッチンに入ってくると丁寧に手を洗う。
もともと素直なユウリと、口の悪さほどひねくれていないリョウスケ。
若いこいつらに少しでも生活力を着けさせようと、この部屋に居るときは出来るだけ色々なことをさせる。
というのが大野さんの考えだった。
つづく