身体から力が抜けてがくりと床に膝が着いた。
磨き込まれたこの部屋の床は冷たく硬い。
ひざまづき四つん這いになったオレの顔がその床に映り込む。
………っ……っっ……………くっ…
両目から落ちた水滴がパタパタと音を立てるようで、見る間にオレの無様な顔が滲んでいく。
あなたが悪い
そんなに優しいから
熱く情熱的に、だけど大切なものを扱うようにオレを抱くから
だから
絶望的な夢を見てしまうんだ
一瞬でも愛されているかのような
妄想を抱いてしまったんだ
そんなわけないのに
あなたは、金を払って遊びに来た客で、オレは金で身体を売る娼 夫。
それ以外の何者でもない。
それ以外のオレを知らないあなたが
オレに特別な感情を持つはずがないのに
……っ………うっ………………
極々小さな嗚咽を漏らすだけで、決して声は出さない。
誰にもオレが泣いていることを悟らせない。
そんな術はすっかりオレの身体に染み付いていて、
防音設備の整ったこの部屋でも無駄に機能する。
それでも
苦しくて苦しくて苦しくて……
しんっと静まった部屋の中、涙だけはとどまることなくて……
ついには身体を支えていられなくなって、冷たい床に額を押し当てた。
高級ホテルの広いスウィートルーム
その部屋の隅でこれ以上もないほど小さく踞って肩を震わせ泣き続けた。
こんなことなら
あなたと出会わなければよかった………
つづく