先輩とのゲームに負けて、仕方なくここに来たということならば
「……でしたら、本当にワタシと寝なくてもいいんですよ?高島様にはワタシからうまく言っておきますから」
興味もないのに、男なんか抱かなくてもいい。
そしてあなたは
あなたのいるべき場所に帰って行けばいい。そのほうがいい。
だけど、あなたは思いの外強い瞳でオレを真っ直ぐに見返した。
「いいえ。俺、嘘がヘタなんで。
それに、約束はちゃんと果たしたいんです。
あの、こんな理由で申し訳ないけど
………あの……お相手していただけますか?」
何なのこの人、こんな所まで律儀でくそ真面目。大きな身体を小さく丸めて本当に申し訳なさそうに見上げる真ん丸の目。
男娼にそんなに気を使わないでよ。
だけど、覚悟はあるんだね。
「もちろんです。それがワタシの仕事ですから。
でも相葉様「あの…」
あなたの覚悟を確認しようとして途中で遮られた。
「すいません。様はやめて貰っていいですか?
何だか俺が俺じゃないみたいで」
「…わかりました。では…相葉さん」
「はい」
「本当にいいんですね」
「はい」
本当にいいんですね?オレと寝ても……
あなたが思い止まらないなら、オレは……
オレの望みを叶えさせてもらうよ
「じゃあ、相葉さん。シャワーをどうぞ」
促すオレの言葉に
はい、と言いながらそれでも戸惑いがちにシャワールームに消えたあなたを見送った。
こんなこと、いくらでも誤魔化すことが出来るのに、あなたという人は本当に真正直なんだから。
それに引き換え、ウソばっかりのオレ。
ちゃんと男娼の『リュウ』として振る舞えただろうか。
小さく震える拳を開くと手の平はびっしょりと汗で濡れていた。
つづく