どうしても揺れてしまう本心を隠して、仕事用の笑顔を浮かべて作った薄い水割りを彼の前に置いた。


"ありがとうございます"と、頭を下げてグラスを手に取ると一気に呷るあなた。


空にしたグラスをカタンとテーブルに置くと、ハァーッと息を吐く。


全然緊張が解けてないよね。


この遊びにあなたが慣れていないのが嬉しくて、
緊張を隠しきれないあなたの姿が愛しくて、


「んふふっ」


思わず笑ってしまった。
と同時に、そんなに緊張するほど乗り気じゃないのに、何でここに来たのか。
来てくれて嬉しい気持ちとは矛盾した、来てほしくなかった思いが喜びを上回る。


「相葉様
失礼ですけど、こういう遊びは向いてないのでは……」


ゲストに対して絶対に言うべきじゃない言葉が口をつく。
あなたはそんなオレの不躾な言葉に気を悪くするでもなく、少し背中を丸めて自分の首に片手を置いた。


「俺も、そう思います。
実は、高島さんの武勇伝を……
えっと、この場合の武勇伝は…あなたとのことなんですけど…
それをちゃんと聞いてなくて…
っていうか、そういうのって、あんまり聞いちゃいけない気がして……どう答えていいのかわからなくて……」


高島様が俺とのことをどんな風に自慢したのか、だいたいは想像がつく。自慢したくなるように誘導したのはオレだ。あの男はまんまとオレの策に嵌まったわけだ。


それなのに、額に汗を滲ませて一生懸命にオレに説明しようとしている。
先輩の情事の相手、その本人を目の前にしてさぞかし話しづらいだろうに。


「……それで、高島さんの、その、機嫌を損ねてしまって……
なぜか、俺がゲームに負けたら……
その……罰ゲームで、あなたのところに行ってこいと言われてしまって……」

「罰ゲーム?」

「………すいません」




「…謝る必要はないですよ。
相葉様は正直な人なんですね」


罰ゲーム。
興味本位でも話のたねでさえもなかった。


……この人が、こんな所に来る理由…


「…簡単なゲームだったんですけど……
その…負けてしまって……」


………まぁ、そんなもんか。
妙に納得してしまった。


それを正直に話して、買った男に頭を下げるこの人があまりにもこの人らしくて




それがかえって………………














つづく