俺のいない隙にみんなでそんな可愛いニノを愛でてたなんて全然知らなかった。
とにかく俺は、ニノすげぇからの俺も頑張らなきゃって、それで何を頑張るかって考えて……
だけとさ、いくら意気込んだってやったことないものは急には出来ないんだよ。
だから、今やってることを今まで以上に頑張る。ありがたいことに次クールのドラマが決まってたから全力投球。
それからレギュラーのバラエティーで、前からちょっと考えてたことをスタッフに話してみたらトントン拍子に話が進んで、新コーナーが立ち上がることになった。
一気に忙しくなったけど、仕事があるのはありがたいこと。全部にガムシャラに取り組むだけ。
だけど、そのせいで嵐のみんなとゆっくり話す時間がなくなっちゃった。
ニノの身体のケアも出来なくて、仕方なくその役は松潤に変わってもらった。
松潤なら安心。
真面目に、ストイックにやってくれるからね。
走り回っているうちに時は過ぎて
アカデミー賞の受賞式の日が来た。
各最優秀賞はこの日に発表になる。
当然だけど、ニノは受賞式に出席してる。
ニノ抜きの楽屋で俺たちは4人そろってテレビの前にいた。
テレビの中ではドレスアップした受賞者が紹介を受けながらぞくぞくと入場してる。
もちろんその中にニノもいた。
その年、主演男優賞を授賞式したそうそうたる面々の中、超大物俳優に車イスを押させてにこやかに手を振りながら入場するニノ。
「演出かな?」
「どうだろ?」
「どっちにしても、あの人に車イス押させて平然としてられるのはニノくらいなもんだよ」
「案外あちらの申し出かもよ?」
「ああ、仲良いもんな、あの二人」
「誰彼かまわず、たらしまくってんじゃん。
ニノのやつ」
テレビのこっち側では気心の知れたどうし、好き放題言いながら観てたんだ。
番組は進んで
助演女優賞、助演男優賞、次々に最優秀が決まっていって、いよいよ最優秀主演男優賞の発表。
テレビ放送は生中継じゃない。
俺たちはマネージャーから聞いて結果を知ってる。
だけど、やっぱり緊張する。
当事者たちの顔が映し出されてニノの顔ももちろん映って、あいつはリラックスした顔で共演者たちとしゃべってる。
プレゼンターがマイクの前に立つ。
俺たちはテレビ画面を凝視して拳を握りしめる。
恭しく封筒を開けて、読み上げる。
『最優秀主演男優は…………… 二宮和也!』
「ぃやったぁーーーー!!
おめでとうニノ!」
テレビのこっち側で一斉に声が上がった。
もちろんテレビの中も拍手喝采だ。
カメラが抜く嬉しそうなニノの顔。
壇上へのスロープをニノの車イスが上がっていく。
受け取ったトロフィーを膝の上に乗せてマイクの前へ。
アシスタントの人がマイクの位置を下げる。
普段でも水分量の多いニノの目が、いつもにも増してうるうるしてる。
紡がれる言葉は、監督、共演者、スタッフへの感謝。俺たちのことを話すときにちらっとカメラを見たの、気づいたぞ。
うん、見てるから、よかったな。
ホントに、よかった
「相葉くん、泣きすぎだから」
翔ちゃんに言われて気がつくと、顎を伝った涙でジーパンの膝にでっかいシミが出来てた。
慌ててあっちこっち拭くけど、そういう翔ちゃんだって目が赤いから。
おーちゃんは子供みたいに手の甲で目を擦ってるし、松潤!慌ててパソコン開いたって泣き顔は隠せてないかんな!
つづく