その年のツアーが終わって少しした頃、
ニノに映画の話が持ち上がった。
本格ラブストーリーだって。
しかも、結構濃厚なラブシーンあり。
最初話を聞いたとき、俺は正直ウソでしょって思った。
嵐のラブストーリーコンテンツは松潤じゃないの?
なんでニノ?
今のニノ?
「車イスの男と健常者の女の人の話だって。
オレ、本物だもん。都合良かったんじゃね?」
「製作側がそれだけで選ぶわけないじゃん。
だけど、なんでラブシーン?」
「なっ、超今さらな気もするけど」
「結構すごいんでしょ?」
「前貼りするらしいよ。
相葉くんうらやましい?」
「そんなことあるか!」
貰った仕事は淡々と準備をして、もちろん全力を尽くす。
ニノのスタンスは変わらない。
ラブシーンは気になるけど、それ以上に心理描写が複雑な難しい役だという。
それに、今以上に忙しくなる。
今までとは違う、身体のケアにかかる時間は無理してでも確保しなきゃならない。
「やれそう?」
もろもろ込みで聞いてみる。
「受けたらやるしかないでしょ。
まあ、オレのことだから出来ちゃうんだろうなぁ、んふふっ」
くるりと瞳を巡らし俺を見上げると、にやっと笑った。
そのまま携帯に視線を落としてタッチペンをいじりだしたニノ。
いつもと変わらない表情、仕草。
だけど、俺には分かる。
ニノは挑戦できることを喜んでる。
それこそ身体を投げ出して、全身全霊で取り組まなきゃならない役に今からワクワクしてるんだ。
ニノならきっと演じきる。
そうして、また一歩前に進むんだ。
怪我をして、一度は嵐を辞めようとしたニノ。
残ると決めてからのニノは、ひたすら前を向いて努力を続けてる。
そして、着実にステップアップしている。
ニノの頑張りにはメンバーみんな頭がさがる思いでいる。
そんなニノを見てるとさ、じゃあ俺は?
ってなるよね。
俺はニノほど頑張ってるかな?って。
一緒にいて恥ずかしくない俺でいたい。
俺も、もっともっと頑張らなくっちゃ。
自然とそう思えるんだ。
つづく