その年のライブツアー
ニノの怪我というとんでもないアクシデントがあり、準備期間はいつもに増して短かった。
そんな中で俺たちは勿論、関わるスタッフ全員が出来うる限りのことをして臨んだ。
ステージは極力段差をなくしたし、スタッフや
Jr.の協力もあって、出入りや着替えのタイムロスはほとんどなかった。
相葉くんは本当にニノを背負ってフロートの階段を上がったし、ニノは手元で操作する、相葉くんいわくひょろ長い車イスを駆使して歌い躍った。
衣装さんはニノの車イスにまで衣装に合わせた装飾を作ってくれた。
関わる全員が知恵を出しあい、全力を尽くして作ったコンサート。
集まってくれたファンは
みんなが温かかった。
変わらないC&R
会場を埋め尽くす、ほぼ等分の5色にきらめくペンライト。
持っているウチワとは違うメンバーが前を通っても、懸命に手を振ってくれる気配り(笑)
これまでと変わらない最高の空間が出来上がった。
勿論、課題も山ほど出たけれど、それは次へと繋げる為のもので。
次はもっといいものを
俺はツアーの最中から気づいたことをメモに取り始めた。
そうやってその年のツアーはファイナルを迎えたんだけれど
楽屋での俺たちは、相変わらずで……
ーー*ーー*ーー*ーー*ーー
「おつかれー」
アンコールを終えて楽屋に戻る。
いつも通り速攻でシャワーを浴びた J は、人造人間みたいな格好のままスタッフとの打ち合わせのために楽屋を出ていった。
今日も無事に最後まで出来たとほっと息をつく。
あとはこのまま家に帰れれば言うことはない。
だけど、それを許してくれないヤツがいる。
今回のツアーの初日からそれは始まっていて
初日の公演後
「ニノちゃーん、お風呂行くよー」
「行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいじゃないだろ。
一緒に行くんだよっ」
「なんでよ」
「俺が洗ってやるから」
「遠慮します」
「なんでー?
いつも一緒に入ってるじゃんかー
今さら照れるなよー」
「照れてないわ!」
確かに、今までも風呂には一緒に入ってたけど、今は状況が違うだろ。
きっとこいつはオレを抱えて一緒に浴槽に浸かり、頭のてっぺんから足の先まで洗ってくれる気でいるだろう。
そんなの、恥ずかしすぎる。
だから
「スタッフが風呂用の車イス用意してくれてるし」
準備は怠ってないんだよ。なのに
「ええ~そんなのいらないよ。
俺が抱っこしてやるから」
やっぱりだ。
おまえの考えてることなんて、手に取るようにわかるんだよっ。
深い意味はないんだ、おまえには。
それもわかってる。
もともと面倒見のいい、目の前に困ってる人がいたら考えるよりも先に体が動いちゃうようなヤツだから。
これからオレが
おまえにとって一番大事な嵐の、
メンバーでシンメで幼なじみのオレが
まあまあ苦労してシャワーに行くんだろうなんで思ったら、じゃあ俺がってなるよな。
まったくの善意。
だから却って始末に終えないんだ。
つづく