「……本当に、無理かな?」
オレに抱きついたまんま、バカみたいに泣き続けるこいつの肩の向こう
指で唇を触りながら一点を見つめる姿。
櫻井コンピューターがフル稼働している時の仕草。
「松潤、コンサートに車イスは絶対無理?」
「…………」
すぐに答えは出さない。
こっちのコンピューターはより慎重に答えを探る。
「……今回は、もう発注終わってるから、大筋は変えられない。
だけど、細かいとこの変更なら出来るよ。
ニノに付けるスタッフとジュニアを増やして……立ち位置替えて……
フロートは相葉くん、おぶって上がれるよね?」
「もちろん!!」
J を振り返る涙でぐちゃぐちゃの顔が、途端に輝いた。
それに頷いて
「うーん、ざっくりだけど、不可能ではない。と思う」
J の答えに両の口角をきゅっと上げた翔ちゃん。
「車イスも改良出来ないか、そういう関係の知り合いがいるから聞いてみるよ。
それに、手術は成功してるんだ。
ニノの今の状態が原因不明っていうなら、治る見込みだってあるんじゃない?」
「翔ちゃんも J も、何言ってんの?
そんなこと……」
渾身の力を込めて力加減バカ男の身体を押すと、やっと腕をほどいてベッドの上、オレの隣に腰かけた。
こいつの重みでベッドが傾ぐ。
そのまま寄りかかったオレの背中に腕を回して不安定な身体を支えられた。
その体勢で二人を見上げる。
「何で無理って決めつける?」
信じられないオレに二人の真剣な眼差しが注がれる。
「そんなの……嵐のクオリティが……」
ジャニーズ内でも抜きん出たダンスの実力の持ち主と言われるおーのさんが引っ張る嵐のダンス。
J が細部にまで拘った、今や業界でも有名になった嵐のコンサートのクオリティ。
「オレのせいでそれを下げるなんて、絶対にやだ!!」
それだけは、絶対にしたくないんだ。
オレの考えていることが伝わったんだろう。
J が射るようにオレを見る。
「ニノ、俺たちを舐めるなよ」
整い過ぎるほどに整った J の顔に睨みつけられる。久しぶりのマジ睨みは結構な迫力。
こわっ。
「俺たちのダンスは、5人で躍るためのダンスだから」
その眼光の鋭さに思わず引いた俺を庇うように、翔ちゃんが J の肩をポンポンと叩きながら宥めるように落ち着いたトーンで間に入る。
J も気がついたんだろう。
「今の形が最高な訳じゃない。
俺らはこれからも挑戦し続けるんだから。
車イスの移動も、俺がショーアップしてやるよ」
翔ちゃんを照れたように見てからオレの方に向き直ってニヤッと笑った。
つづく