デリケートな部分に触れています。
ご注意下さい。
辛いと思われたらUターンをお願いいたします。
バタンッ!
ノックもそこそこに病室のドアが開いた。
そこには息を切らして、ドアノブを握りしめるお前の姿。
やっぱりあの足音はお前だったのか。
話は聞いて来たんだろう、オレを見る顔はもう泣きそうに歪んでいる。
お前のそんな顔は見たくないんだけどな。
少し後からお前の背中を押して入ってきた翔ちゃんと J 。最後におーのさんが入ってきてドアを閉めた。
いつもなら「廊下は走らないの!」って小言を落とす翔ちゃんも今日は息が上がってる。
おかしなことに、こんな状況でも4人の顔を見るとホッとするオレがいる。
やっぱり落ち着く。
オレがオレでいられる場所はここしかない。
だけど……
それも、もう………
「ごめん。
迷惑かけちゃって」
4人の顔がこわばっているから、敢えて笑顔を作って言った。
「……痛みは?」
こういう時、真っ先に声を掛けて話の糸口を作ってくれるのが J 。
「手術で切ったとこは痛いけど、あとは全然」
「…足の方は?」
言いにくいことを引き受けて、話を前に進める翔ちゃん。
オレは小さく頭を左右に振った。
「まったく動かない。
感覚もないし、自分のじゃないみたい」
きっともう分かっているんだろうけど、それでも当事者のオレが言ったことで現実味が増したのか、部屋の中に重苦しい空気が立ち込める。
後ろで見え隠れしているおーのさんは沈痛な面持ちでオレを見てるだけだし、一番前、オレのすぐ側にいるお前は両手を握りしめて唇を噛んでいる。
「手術は成功したんだよね?」
翔ちゃんが部屋の隅で小さく頭をなっているマネージャーに確認する。
「そう聞いています」
「じゃあ何で?」
J の苛立ちの混じった声は迫力がありすぎて
「……原因は、不明としか……」
マネージャーはすっかりびびってしまって、どんどん声が小さくなっていく。
ついに「事務所に電話をかけてきます…」と病室を出ていってしまった。
オレたち5人だけにしようと気を利かせてくれたのか、それとも逃げたしたのか……
前者だと思いたいけど。
J も怒ってるわけじゃないだろうし、マネージャーが悪いわけでもない。
強いていうなら、転んだオレが悪いんだし
……こういう雰囲気苦手なんだよね。
だから、わざと声を張ってあっさりと言った。
「よく分かんないんだけどさ、そう言うわけで歩ける見通しが立たないんだよね」
ここからは自分でも勇気がいる。
だけど、言わなきゃならない
「だから……ごめん……
嵐は、続けられそうにな「やだっ!!」
せっかくオレが振り絞った声を遮るでっかい声。
オレの目の前で拳をワナワナと震わせて口を真一文字に結んでるお前。
真っ赤な顔。まんまるい目にはいよいよ涙が盛り上がってる。
そんな顔して、やだって言われてもなぁ。
オレだって言いたくなかったけどさ。
ついこの間までこんなこと夢にも思ってなかったんだ。
だけど、しょうがないじゃないか。
感覚のない、ピクリとも動かない自分の足を見る。
どうにもならないんだよ……
だったら、結論は早く出してみんなは前に進まなきゃ。
もう、その中にいられないことが悔しいし、悲しいし、情けないけど…
諦めるしかないじゃん……
つづく