親や、事務所の偉い人の前で医者が手術について説明している。
患部は脊椎に近くて難しい手術になるということ。けれど、優秀なスタッフが揃っているから心配ないということ。
それを専門用語満載で説明される。
起こってしまったことは仕方ない。
治るならそれでいい。
オレの思考は医者の説明の途中でまったく違うところに飛んでいた。
決まったばかりのドラマは……撮影までには何とかなるか。
レギュラーはしばらくは動かない系の担当にしてもらうとして……
ライブには……まぁ間に合うだろう。
問題は、新曲発表の生放送だな。
これをどうするか……
嵐の活動の事ばかりが浮かんでくる。
考えることはひとりでも出来る。
だけど、ここにメンバーがいたらとつい思ってしまう。
心配するだろうか。
ちゃちゃを入れて笑わせてくれるだろうか。
ああ、今
無性にみんなの顔がみたい……
叶うはずのない願いをひとり飲み込んだ。
あれよあれよという間に手術が決まり、麻酔を嗅がされて意識が途絶えた。
そして、目が覚めた時、オレの足はピクリとも動かなかった。
何が起こったのか。
手を伸ばして足に触れば、手は確かにオレの足を触っているのに、オレの足には触られている感覚がない。
叩いてもつねっても何も感じない。
じゃあ、ここに見えている足は誰の足だ?
そう思ってみても、どう見てもこれはオレの足なのに。
さっぱり訳が分からない。
オレの戸惑いはよそに、
この事実に家族は嘆き、事務所は気色ばんだ。
手術前にはこんな結果になるなんて言ってなかった。手術ミスじゃあないのかと医者と病院に抗議する。
だけど、病院側も決して手術ミスは無かったと、レントゲンやその他様々な証拠を見せてくる。
「以前から痛めていた腰に負担はかかっていましたが、手術で脊椎損傷はしていません。
治る症例のはず。
麻痺については原因不明ですが、さらに詳しい検査を……」
病院側と事務所の話は続いているけど、オレは既に興味をなくしていた。
原因なんかどうでもいいけど、結果、オレの足は動かない。
自分の身体だからなのか、なんとなく分かる。いくら検査をしてもこの足は動くようには
きっとならない………
つづく