雅紀くんside←ここママさんのお部屋
一時は危険と言われていた雅紀だったが、意識を取り戻してからは順調に回復していった。
俺は仕事の傍ら、時間を作って出来るだけ雅紀の病室に通った。
東山会長とはあれから顔を会わせることはなく、もっぱら側近の松本が俺たちと会長との窓口になっていた。
俺は何度も松本と話をした。
雅紀の今後について……
また、それとは別に
雅紀の入院中に、多部コーポレーションの株主総会が、行われた。
総会の場で未華子さんの兄で元社長の退陣と、未華子さんの新社長就任が決まった。
彼女は見事に望みを叶えたわけだ。
壇上で新社長として胸を張る彼女の脇に避けた彼女の兄の顔が、安堵の表情を浮かべていたのを俺は知っている。
「社長就任おめでとう。
見事な手腕だったな」
株主総会後のパーティーであちこちに挨拶に回っている彼女に声をかけると
「ありがとう。
翔さんのお陰で、思ったよりも早く実現出来たわ。
あなた、自分で言うより信頼されてるわよ。
これで契約は満了。
婚約は解消しましょう」
仕事に燃える彼女からあっさりと婚約解消を告げられる。
俺はもう用無しらしい。
俺も彼女のお陰で雅紀との今があると思っている。
お互いに有益な契約だったということだ。
「あっ、でも櫻井製薬との業務提携は続行よ。これからもよろしくね。
叔父様の秘宝を手に入れたんだから、バリバリ稼がないとね」
カラカラと笑いながら、運転手から格上げしたらしい見知った顔の秘書を従えて衆人の中に消えていく後ろ姿。
女性らしい華奢な背中が、なんとも頼もしく見える。
まったくこの人には敵わない。
後ろ姿に小さくため息をついた。
つづく