招待したのは、潤の家族と大野先生と櫻井先生。


潤の家族はお姉さんの一家、旦那さんと二人の子供を含めた全員が来てくれる。


お父さんとお母さんには準備の手伝いもお願いしてしまっている。


お世話になっている大野先生と櫻井先生には
ぜひ来て貰いたかった。


けれど、救急も受け入れている大野病院、ましてクリスマスともなれば医師だって家族や恋人と過ごしたいもの。


いつもは他の先生方を出来るだけ休ませてあげて、あの二人が残るのだけれど今回は特別にと櫻井先生が大野先生を送り出してくれた。


実は俺も他の看護師さん達が譲ってくれての今日の休みだ。


そこまで無理してもクリスマスパーティーをやりたかった。


またひとつ、かずさんに初めての経験をさせてやりたかったから。


ちょっぴり無理を言ったけれど、かずさんがこんなに楽しそうにしているのだから、俺の選択は間違っていなかったと思う。





「まぁくーん、リビング、炬燵片付けて掃除機かけてー」


今日は人がたくさん来るから、炬燵は邪魔になる。かずさんに言われるまま、片付けを済ませて朝からかずさんが奮闘しているキッチンへ覗きに行った。


キッチンに入ってみると、辺りは粉まみれであちこちにクリームが飛び散っていた。


自身も粉まみれになりながら、それでも誇らしげに指差した作業台を見ると


とても初めて作ったとは思えない、立派なケーキが鎮座していた。


大きなスポンジの台座にたっぷりの生クリーム、真ん中にはたくさんの真っ赤ないちごがのっている。


「…すごい!!
かずさん、とても初めてとは思えないよ。
すごく美味しそう!」


「………そう?ふふふっ」


俺がビックリして言うと、かずさんは誇らしそうに、けれど、少し照れたように微笑んだ。


かわいい……


思わずかずさんをキュッと抱き締めると、
まぁくんにも粉が付いちゃうから、と抵抗する。


粉を気にしている風だけど、本当は違うでしょ、恥ずかしいんでしょ。


だって、かずさんの耳朶真っ赤だよ。


俺は腕の中でもぞもぞ動くかずさんをさらにギューギューと抱き締めた。


すると観念したのか、動きを止めて下から見上げる薄茶の瞳。

「まぁくんと過ごす初めてのクリスマスだし、初めてのパーティーだし、そりゃあね、頑張ったよ。
だけど、オレの今日のメインはまぁくんの誕生日だからね」


かわいい顔して、かわいいことを言う。


もう、パーティーなんかどうでもいいから、このままベッドに連れ込みたい!


薄く開いている唇に吸い寄せられるように顔を寄せていくと


ストップ!


唇と唇の間に丸っこくて、柔らかい手のひらが立ち塞がった。


「まだ準備終わってないでしょ!
早くしないとみんなが来ちゃうよ」


はぁー


やっぱりそうですよね………


するりと俺の腕の中から抜け出して、大きなケーキを大事そうに冷蔵庫に持っていくかずさんの背中を見ながら肩を落とした。







つづく