目が覚めると部屋の中はすっかり明るくて、カーテンの開いた窓からは日差しが燦々と降り注いでいた。


枕元の時計を見ると、もう昼に近い。


今日が休みで本当に良かった。
そうでなければ完全に遅刻しているところだ。


周りをを見回せば、シーツを取り替えられさっぱりと整えられたベッド、俺の身体もきれいにされて、何故かバスローブを着せられていた。


昨夜はあんなに乱れて、ベッドも俺自身もドロドロだったはずなのに。


さとしくん……


「……ぐっ……げほっ………ごっほっ………」


寝室にいないその人の名前を呼ぼうとして盛大にむせた。


気付けば喉がガラガラだった。


身体が、鉛のように重い。


疲れきり、痛みを訴える身体を無理矢理動かして上半身を起こした。


その時、ギッと小さな音を立ててベッドルームのドアが開いた。


ペットボトルの水を持って入った来た智くんは、俺のTシャツと短パンを着ている。


それを見て、一週間もアメリカに滞在するのに少なすぎる荷物の理由が分かった。


この人滞在中はずっと俺の服を着る気だ。


きっとあの小さなバッグの中には下着くらいしか入っていない。


シャワーを浴びて髪も洗ったのか、前髪の降りている智くんは、何だか幼く見える。


そして何より、ここに来たときよりも元気そうに見えた。





「翔くん、腹へらない?」


俺に水を渡してくれた智くんがニコニコと笑う。その顔は穏やかで、昨夜の激しさは微塵も感じられない。


「ああ、それじゃあランチにでも行く?」


事前に調べていたレストランのリストを見せようとすると、それを遮り


「いや、時間がもったいない。
今、そこのスーパーで色々買ってきたから」


と俺の手を取り連れ出そうとするけれど、何しろ俺は昨夜のダメージが酷くてゆっくりしか動けない。
業を煮やした智くんが俺をひょいと抱えてリビングに連れていってくれた。


自分より大きな男を軽々と持ち上げる。
この華奢な身体のどこにそんな力が潜んでいるのか不思議で仕方がない。


俺をソファーに降ろすとキッチンに入っていき、冷蔵庫から大きなボトル入りのドリンクやらピザやら調理済みのサラダなんかを出してきた。


あなた、スーパーに俺のTシャツと短パンで行ったの?
サイズが合っていなくて、首回りは大きく開いてるし肩は落ちてるし、危なっかしい格好なんですけど。


きっと本人はそんな事全く気にしていないんだろうけれど、あなたより力が強くて危ない輩はこの辺りにはゴロゴロいるって言うことをもうちょっと自覚してほしい。


俺がそんな事を言っても、全くあなたには響かないのは分かっているんだけれどね。


仕方なく小さなため息をつくだけで我慢した。








つづく