インターフォンのカメラ越しに見る智くんは、映りの良くない画像でも分かる、ただならぬ雰囲気。
憔悴しきった顔。
何かあったのかと、思わずあなたの後ろを伺う。あなたの他に人はいないようだ。
ということは、背中に銃が突き付けられている分けではなさそう。
あなたの傍らには、旅行のお供には小さすぎる鞄が見えるから、盗難にも合ってはいないようだ。
少しだけほっとして、とにかく早く家の中へと
俺は慌ててドアチェーンを外した。
開けたドアの先に立っている、青白い顔。
頬は痩け、身体もずいぶんと痩せてしまっている。
たった1ヶ月の間にいったい何があったのか。
「智くん……」
とにかく中へと手を取ろうとしたのだけれど、それよりも早く中に入ってきた智くんの腕が俺のアゴを捕らえた。
曲げた肘の内側に、俺のアゴをすっぽりと収めた智くんは、後ろ手にエントランスの鍵を閉め、自分の荷物をその辺にポイッと捨てるとそのままズンズンと前進する。
自然、俺は智くんに押されて見えない背後に向かって全速力で後ずさりすることになった。
再会してから、俺は一言しか言葉を発していないし、智くんなんてまだ声も聞いていない。
智くんは、険しい顔のまま初めて入った俺の部屋をズンズンと進んで、開けっぱなしのドアからベッドルームに入ると、彼の腕に引っ掛かっている俺を思いっきりベッドへ投げ飛ばした。
ああ、こんな技、確かプロレスであった気がする、ウエスタン……なんだっけ?
ベッドのスプリングのお陰でボヨンボヨンとバウンドする身体。
そうだ、ウエスタンラリアットだ
頭から投げられたせいで軽い目眩に襲われながら、何故か俺の頭にはこの状況とは全く関係ない情景が浮かんでいた。
けれど、この時人知れず、けれど確かにゴングは鳴っていたのだ。
昼に来る筈の智くんが、なぜ真夜中の今ここにいるのか。
その憔悴した様子はどうしたのか。
聞きたい事がたくさんある。
しかも、1ヶ月ぶりに逢った恋人同士だというのに、挨拶さえ交わしていない。
「さ、さとしく、ん、どうし」
たの………
状況把握の為の会話を試みるも、途中で塞がれた唇は、いきなり深く侵入してきた舌によって遮られた。
俺の言葉を征したまま、明確な意思を持った指先が俺の衣服を剥いでいく。
あっという間に裸に剥かれて、同じように自分の服も投げ捨てた智くんにベッドに押さえ込まれていた。
つづく