「まぁくん、眉間にシワ」


いつものソファーに身体を沈めて、気が付けば点いてもいないデレビの画面をじっと見つめていた俺の視線を遮るように、目の前にかずさんが立っていた。


俺の眉間に指をあてて、寄っていたシワを伸ばすようにグリグリと圧された。


俺が我に帰って、自分で自分の顔をごしごしと擦っている間に俺の隣に滑り込むように座ったかずさん。


俺の顔を覗き込んで、ふふっと優しく笑った。





「まぁくん
急がなくていいんだよ。ゆっくり行こう?
オレたち7年も離ればなれだったんだから、
まぁくんにも、オレにもそれぞれ過ごした年月があるの。
7年前に戻る必要ないんだよ」


俺の目を見つめて話すかずさん
その瞳はきっと俺と一緒。
愛しい人を見る瞳。


「オレね、ここに戻ってこれて本当に嬉しいの。まぁくんの声を聞いて、話をして、一緒にご飯を食べて、こうやって手も繋げる」


そう言うと白くまるっこい両手で俺の手を包み込んだ。


「今はね、これで満足なの。
本当よ。無理してないからね。
その先のことは、その時考えればいいじゃない。

トラウマなんて、きっとそのうち何とかなるよ」


「かずさん、気づいてたの?」


「ふふっ、だってまぁくん分かりやすいんだもん。
そのうちね
………もしも、オレが先にその気になったら襲ってあげるから、そんなに深刻に考えないの」


「えっ?俺が襲われちゃうの?」


「オレのスイッチが先に入ったら、そういうこともあるかもねー」


クスクスとイタズラっぽく笑うかずさんに、俺の緊張も解れてていく。


そうだね、ゆっくりで、いいんだよね。


「あっ、でも、隣で寝るのは許してね?
まぁくんの隣は温かくて、気持ち良くて、よく眠れるんだよねー」


そう、嬉しそうに笑ったかずさんと、並んでベッドに横になった。


俺の隣に潜り込んで来たかずさんは、モゾモゾと動くと俺の胸に柔らかい頬をくっ付けて、丸くなって目を閉じた。


もともと俺よりも小さくて華奢なかずさんがそうすると、本当に小さくなってしまって、俺はそんなかずさんを抱き抱えるようにして目を閉じた。


かずさんの温もりや、心地いい質感に安心する。


すぐに聞こえてきたかずさんの柔らかな寝息を聞きながら、俺も眠りに落ちた。








つづく